2022 Fiscal Year Research-status Report
月経周期に伴う運動誘発性疲労の増加に対する新たな対処法の提案
Project/Area Number |
22K21228
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
松田 知華 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部, 契約研究員 (10963803)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 月経周期 / エストロゲン / プロゲステロン / 疲労 / 持久性運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
月経周期に伴う疲労の増減を把握し、疲労の蓄積を軽減することは、女性特有の健康障害予防および最大のパフォーマンス発揮に重要となる。そのため、月経周期における疲労回復手段の解明は、学術的・臨床的に意義が高い。先行研究において、月経周期に伴う筋グリコーゲンの減少を介して運動中の疲労を増加させる可能性があるということが知られている。そのグリコーゲンの減少・枯渇を予防するためには、食事や飲料による糖質摂取が最も重要となる。また、その糖質を骨格筋へ供給するためには、スムーズに糖質を消化吸収することが重要となることから、本研究は、月経周期が運動時の消化吸収機能に影響を及ぼすのかを明らかにし、コンディショニングやパフォーマンス向上に役立てることを目指す。 正常な月経周期を有する女性を対象とするため、対象者には基礎体温の測定を実施し、月経周期が25-38日であることを確認した。さらに、対象者の加入している部活動の練習予定および運動状況を調査し、定期的に運動を実施している女性11名を選定した。 実験はカレンダー法、排卵日予測検査薬、性ホルモン濃度を用いて卵胞期前期(エストロゲン低値、プロゲステロン低値)、卵胞期後期(エストロゲン高値、プロゲステロン低値)、黄体期(エストロゲン高値、プロゲステロン高値)の3つのフェーズに分け、各フェーズでそれぞれ実験を行った。運動は、自転車エルゴメーターを用いて70%Wmaxの強度で60分間実施し、血液サンプルを用いて消化吸収機能と関連のある生理作用物質を評価した。本研究によって、月経周期と運動時の消化吸収機能との関連性が明らかになれば、女性アスリートの競技力向上および疲労回復など様々な場面における性差や月経周期を考慮したコンディショニング法やトレーニング法の開発に活かせることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては、正常な月経周期を有する女性を対象としたため、月経周期の確認や月経周期のフェーズ分けに時間がかかったが、月経周期が運動時の消化吸収機能に及ぼす影響を検討するという計画に基づいて着実に研究を推し進めた。現在は、取得データの解析を実施している段階である。さらに、研究課題2についての運動プロトコルの確認等を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、月経周期による運動時のコンディション方法について検討することを目的とし、実験を継続していく。また、昨年度同様に、正常な月経周期を有する女性を対象とするため、早急に月経周期の確認および対象者の選定を進める。さらに、昨年度実施した研究データをまとめ、研究成果を国内・国際学会に発表することや国際誌に投稿する準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
昨年度は実験においては計画通りに進んだ。しかし、初めて測定する測定項目もあったため、測定項目の分析に時間を要している。したがって、昨年度分析がまだできなかった項目を本年度分析を進める予定である。
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