2023 Fiscal Year Annual Research Report
進行方向の変更を要する曲走路をヒトが速く走るための動作の解明
Project/Area Number |
22K21235
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
広野 泰子 筑波大学, 体育系, 研究員 (00964347)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 左右非対称性 / 曲線軌道 / 求心力積 / 関節トルク / 3次元動作分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立って公認陸上競技会における200m走中の曲走路疾走動作を分析した結果,短距離競技者の曲走路疾走において方向転換量の左右非対称性の程度には個人差があることが示された.そこで本研究では,曲走路疾走中の方向転換量(走路内側方向の地面反力の力積;求心力積)における左右非対称性の程度の説明変数を明らかにすることを目的とした.2023年度は,短距離競技者の曲走路および直走路疾走中の3次元動作および地面反力のデータ取得実験を行い,分析を進めた.男子短距離競技者15名を対象にスタンディングスタートからの最大努力下(走スピード9-11m/秒)での曲走路疾走を分析した結果,1)200m走中の曲走路疾走動作を分析した結果と同様に,求心力積の左右比率は競技者間で一様ではなく,左右どちらかで大きく方向転換する競技者と左右両方で方向転換する競技者がいること,2)左脚(内脚)の足関節伸展トルクと右脚(外脚)の股関節外転トルクが求心力積の左右非対称性の説明変数であることが明らかとなった.これらの結果は,求心力積を地面に加えるための動作には左右非対称性があり,左脚で大きく方向転換する競技者は脚が鉛直軸まわりに回転する,あるいは内傾することで足関節伸展トルクによって生じる水平地面反力を求心方向へ作用させているのに対して,右脚で大きく方向転換する競技者は股関節外転トルクによって求心方向の地面反力を作用させていることを示唆しており,陸上競技走のリレー種目,200mおよび400m走といった曲走路疾走を含む競技者に必要なトレーニングを検討するための一助となることが期待される.
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