2022 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の集学的治療過程における新たな骨格筋評価システムの開発
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22K21241
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
舘林 大介 神戸大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (00965767)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 食道がん / 造血幹細胞移植 / 筋力 / 筋量 / 筋質 / 生体電気インピーダンス法 / エコー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,特に侵襲性の高い集学的治療が行われる食道がん患者および造血幹細胞移植を受ける患者を対象に,従来の筋力測定に筋量や筋の質的な評価を組み合わせることで骨格筋の変化を明らかとし,新たな骨格筋評価システムの確立を図ることである, 現在の進捗状況ではまだ十分な被験者数を得られていないが,食道がんの周術期患者では術前後で比較して膝伸展筋力は低下したが,握力は低下しなかった.体組成測定では筋量やskeletal muscle index(SMI)が低下したが,筋の質を反映する指標である位相角は変化がなかった.同様にエコーにおいても大腿直筋,中間広筋および内側腓腹筋の筋厚が低下したが,筋の質を反映する輝度は変化がなかった. 造血幹細胞移植を受けた患者では,移植前後で比較して握力や膝伸展筋力は先行研究通りの低下率であった.体組成測定では,筋量やSMIは低下傾向にあるものの有意差には至っておらず,一方で位相角は低下した.また,エコーでは中間広筋と内側腓腹筋の筋厚低下を認めたが,大腿直筋は低下傾向にあるものの統計学的な有意差には至っていない.エコーにおいて筋の輝度は,いずれの筋においても上昇傾向にあるが,現在のところ統計学的な有意差はない.傾向がみられている指標については,今後被験者数を増やせば有意差が得られると考えられる. 以上より,現状では食道がんの周術期患者の膝伸展筋力の低下には,主に筋量の低下が強く寄与している可能性が,また,造血間細胞移植を受けた患者の筋力低下には,筋の量と質の低下がどちらも寄与する可能性が示唆されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食道がんについては2022年版のガイドラインより周術期化学療法の標準治療の変更がなされ,術前化学療法の治療プロトコルが変化したことから計画の変更が必要となった.一方,造血幹細胞移植を受けた患者の測定については,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
食道がんの周術期患者の測定については,現在プロトコルを再検討中である.今後も継続してデータ収集・解析を行うとともに,関連学会・研究会等に参加し最新の知見を得て今後の研究に反映させる.データ収集終了後には学会発表・論文作成を行い,関連学術誌へ投稿することで本研究課題を完了させる予定である.
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Causes of Carryover |
研究の進捗がやや遅れているため,次年度使用額が生じた.次年度の使用計画としては,消耗品の購入や学会等への参加費,論文作成等に係る諸経費として計上する予定である.
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