2023 Fiscal Year Annual Research Report
健康寿命の延伸に向けた老化細胞を除去するSenolytic薬の探索
Project/Area Number |
22K21266
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
土志田 裕太 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 常勤研究員 (60966919)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 老化 / 老化細胞 / 肝細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化細胞とは、老齢動物の組織に存在する生理機能が低下した細胞であり、臓器の機能低下を引き起こすと考えられている。老齢個体の組織から老化細胞を除くことができれば、組織機能の向上が期待される。当研究室では既に老化細胞の指標遺伝子として3種類の老化関連遺伝子(GLI pathogenesis-related 1, Glipr1; C-type lectin domain family 12, member a, Clec12a; pleckstrin homology-like domain, family A, member 3, Phlda3)を同定した(Doshida Y et.al., Sci Rep, 2023)。本研究では、これらの老化関連遺伝子を用いて、老化細胞を積極的に除去する「老化細胞除去薬(Senolytic 薬)」のスクリーニング系の確立と、それを用いた老化細胞除去薬の発見を目的とした。初年度では、老化細胞除去薬のスクリーニング系の確立のため、マウスから単離した肝細胞に、同定した3種類の老化関連遺伝子の発現を人為的に誘導させた。これにより、老化に関連した表現型の一つであるDNA損傷の指標因子(γH2A.X)の増加がマウス肝細胞の核で認められた。最終年度では、より精度の高いスクリーニング系を確立するため、CRISPR/Cas9法と呼ばれる遺伝子編集技術を用いて、肝臓で老化関連遺伝子(Glipr1)の発現が誘導されるマウス(遺伝子組換え動物)を2系統作製した。1系統は、常に肝臓で老化関連遺伝子の発現が誘導されるが、もう1系統は、薬剤投与により任意のタイミングで肝臓での老化関連遺伝子の発現が誘導できる。作製した2系統のマウスは現在繁殖中であり、実験に用いるマウスが十分に得られた段階で、老化関連遺伝子の発現レベルと老化に関連する表現型の有無を確かめる。
|