2023 Fiscal Year Annual Research Report
レーザネットワークに基づく自律的競合回避メカニズムの創成と協調的意思決定への応用
Project/Area Number |
22K21269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
巳鼻 孝朋 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (30963277)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | レーザネットワーク / 光アクセラレータ / 同期現象 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画では,スケーラブルなレーザネットワークの構築と競合バンディット問題の解決という課題を示したが,初年度では競合バンディット問題のうちプレーヤ数とスロットマシン台数が同じという条件下において,数値計算と実験ともに構築と競合バンディット問題の解決まで達成された.数値計算では2プレーヤ2台の場合において相互結合で4つの半導体レーザをリング状に結合することで競合なしの意思決定ができることが示された.一方で実験においては数値計算で達成されたレーザネットワークではダイナミクスが不安定であり,意思決定は不可能であった.しかしながら,別のネットワークにおいてダイナミクスが安定して観測可能となり同様な2つの同期現象を用いた意思決定が達成できることが分かった.このことから,2つの同期現象が共存するレーザネットワークはあるフルコネクトなネットワークとパスが切断されたネットワークの両方で確認できることが分かった.この数値計算と実験に基づいた論文を出版した.最終年度では,2つの同期現象が共存するネットワークを理論的に発見できる手法を提案した.この手法はまず,ネットワーク理論により理論的に同期が達成しうるネットワークを構築し,カオス理論の条件付き最大リアプノフ指数を測ることでネットワークの同期状態を解析することで発見できることが分かった.さらに,競合回避を達成しながら初期状態のプレーヤの報酬格差を是正する手法の提案を加えた論文が受理されている.また,プレーヤ数とスロットマシンの台数が異なる場合の競合バンディット問題の解法やパラメータ数が均一なシステムの提案などを論文にする予定である.本提案による研究計画は予想以上に進み,多くの論文を出版できたと考えられ,今後レーザネットワークにおける新たな機能性の獲得やコンピューティングへの展開が期待される.
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