2022 Fiscal Year Research-status Report
Building Foundation for CPS Security Risk Evaluation based on Continuous State-Space Model
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22K21272
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹原 帆平 東京工業大学, 工学院, 助教 (50954608)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | CPSセキュリティリスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではCPS (Cyber-Physical-System)のセキュリティリスク評価基盤の構築を実施している。CPSの特徴としてシステムの挙動が物理法則に従うという点に焦点を当て、状態空間モデルに基づく効率的なリスク評価アルゴリズムを開発することを目的としている。具体的には、機会制約付き最適制御問題の解としてCPSセキュリティリスクを定量化し、その解法アルゴリズムを構築している。素朴な解法では計算量が区間長に応じて指数的に増大する点が技術的ボトルネックとなる。この問題に対して、警報履歴導入による状態空間拡大のアイデアに基づき時間スケールに対する探索空間の増大を抑制可能であると予想したが、この予想が正しいことを理論的に確かめることに成功した。
さらに、リスク評価に加えて、リザバーコンピューティングを用いた攻撃検知の研究も同時に行った。リザバーコンピューティングは再帰的ニューラルネットワークの一種であるが、中間層をランダムに生成した上で出力層だけをデータから学習する特徴を持ち、多くのタスクにおいて高速かつ高精度な学習を達成することができることが知られている。本研究では特に電力システムに注目し、電力システムセキュリティにおける標準的なデータセットを利用し、提案法の性能を評価した。特に、リザバーコンピューティングを実現する機構として様々なものが知られているが、古典的なモデルであるエコーステートネットワークを用いた。その結果、従来手法であるLSTM (Long Short-Term Memory)やGRU (Gated Recurrent Unit)と比較してほぼ同等の性能を達成しつつ、学習速度を100倍程度高速化できることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において『警報履歴導入による状態空間拡大に基づくリスク評価アルゴリズムの構築』および『マイクログリッドに対する評価プラットフォームの開発およびケーススタディ』の二つの課題を設定した。昨年度は、特に一つ目の課題に取り組んだ。結果として、研究提案時の予想、すなわち警報履歴導入による状態空間拡大のアイデアに基づき時間スケールに対する探索空間の増大を抑制可能であること、が正しいことを理論的に確かめた。また、この結果に基づき具体的なアルゴリズムを構築した。また、派生課題としてリザバーコンピューティングによる攻撃検知の開発を提案した。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に沿って研究を進める。具体的には、連続状態空間に対する近似動的計画法の考案およびマイクログリッドに対する評価プラットフォームの開発を行う。第一の計画に関しては、近似動的計画法は様々な派生形が提案されているため、本定式化に適切なものを探る。また評価プラットフォームには標準モデルであるIEEE 39バスモデル等を組み込み、十分に実用的な環境で有効性の検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画時に予定していた論文発行費用および旅費が一部不要となったため次年度使用額が生じた。次年度に当初の目的として利用する予定である。
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