2022 Fiscal Year Research-status Report
高精度・高速な高電圧感電時の人体内部の電流密度-熱伝導-構造連成解析
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22K21281
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
野村 政宗 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (90967259)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 数値人体モデル / 電気-熱-構造連成解析 / 感電 / メッシュスムージング / 並列計算 / 領域分割法 / ADVENTURE |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度(10月~3月)のにおいて、まず作成したスムージング機能を付加した人体モデルにおける静電界解析の国内・国際会議(電子情報通信学会研究会、CEFC、LSCEM)での発表を行った。また、これらの学会では、今後の方針として、「電気-熱-構造」の連成解析を行うことも発表し、本研究課題に関して興味を持ってもらい、有意義な議論を交わすことができた。本議論の結果と研究協力者との議論から、当初開発コードにUG4を使うことを計画していたが、連成解析コード作成の容易さからADVENTUREに変更することを決定した。まず、「電気-熱」連成解析コードを作成するため、解析用PCと可視化用PCの導入を行い、基礎的研究環境の構築を行った。解析用PCにADVENTURE-Thermalのインストールを行い、動作確認を行った。また、これと同時に、より詳細な人体における「電気-熱」の物理現象を研究協力者と議論した。その結果、「電気-熱」連成解析は、①人体の手首などに電位を付加し解析②得られた人体内電位分布から電流分布を計算、ジュール熱に変換し③ジュール熱を内部発熱として非定常熱伝導解析を行う全体的な連成解析フローチャートを作成し、ADVENTURE-Thermalに導入を行った。まずは、解析モデルが立方体の簡易なものに対して、一材料のみでの「電気-熱」連成解析コードを作成した。また、本研究において、現状の計算機環境では、メモリや計算時間などの点で、人体解析は不可能なので、ノード10台ほどで240並列の並列計算機(クラスタ)の導入を計画しており、研究協力者と議論しながら、効率的な並列計算を実現するためのクラスタのノードの選定を行った。来年度以降、設計したクラスタの導入を行い、大規模並列人体計算を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れている理由として、申請者は、ちょうどこの研究課題が始まる10月からほかの研究機関に異動しており、人体解析用に用いていた前所属の大規模並列計算機を用いることができなくなってしまったことである。本研究機関には、大規模並列計算機などの環境がなく、本研究課題の資金+αで「研究実績の概要」で書いた通り、並列計算機を再び一から構築する予定である。本研究課題の資金で人体解析に十分な並列計算の性能は賄えないが、幸いにも+αの資金を獲得することができたので、本研究課題で作成した並列計算機にさらなるノードの増設を行い、大規模人体解析を実現する予定である。もう一度、並列計算機を構築しなければならないという意味で、研究がやや遅れていると評価したが、この研究課題の肝となる「電気-熱-構造」連成解析コードの作成の部分は、参加した学会での議論、また研究協力者との議論より、コードが複雑なUG4からよりコードが単純で、実際に連成解析コード開発が行われているADVENTUREに開発コードを方針転換することにより、大幅に研究が進み、わずか半年で「電気-熱」連成コードを作成することができ、確実に一歩ずつ進んでいると確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、「電気-熱」の連成解析コードを作成したので、本格的に「電気-熱-構造」解析コードを作成していく予定である。「電気-熱」は、ADVENTURE-Thermalのコード一つのみで構築することができたが、「電気-熱-構造」では、ADVENTURE-Solidという異なる構造解析用のコードも用いるので「電気-熱」以上に、連成解析コード構築の敷居は高いので、ADVENTUREに関して熟知している研究協力者とともに議論しながら、コード開発を行っていく予定である。これと同時に、人体解析用の大規模並列計算機環境の構築を行う。具体的には、クラスタ構築のためのノード(デスクトップPC)10台ほど購入し200並列以上の並列計算を実現したいと考えている。まずは、簡単な立方体の単一モデルに対して開発した「電気-熱-構造」連成解析を行い、適切にコードが1ノードのPC上で動くか確認する。確認が取れたら、スムージングされた人体モデルを用いて、まずは、単一材料で人体モデルの大規模「電気-熱-構造」連成解析コードを構築した並列計算機環境で適切に動作するか確認する。確認が取れたら、調査していた各物理現象に対する人体内組織の物性値を用いて本研究課題である大規模連成感電解析を実現する予定である。また、マルチグリッド法とほぼ同じ構造であるBDDソルバーなど、ADVENTUREに設定されてある豊富な線形代数ソルバーとの比較を行い、データの上積みを行い、1~3月の学会で発表、論文誌に投稿できたらと考えている。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、10-3月までの半年間しかなく、PCの購入などに時間がかかってしまい、本来はこの次年度使用額の19万ほどの資金でデータ整理用のノートPCの購入を行うはずだったがそれができなく、次年度使用額が生じた。この次年度使用額を用いて、計画通り、ノートPCを購入し、翌年度分として請求した助成金で購入した並列計算機(複数のデスクトップPCを繋げたクラスタ)による連成解析のデータ収集用として用いる。
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