2022 Fiscal Year Research-status Report
多様な被遮蔽領域の効率的な計測および復元技術に関する研究
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22K21283
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
五十川 麻理子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 専任講師 (60963238)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | Non-Line-of-Sight / 被遮蔽領域 / センシング / シーン復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,Non-Line-of-Sightイメージングと呼ばれる被遮蔽領域の復元に関する技術に基づき,被遮蔽領域計測およびそのシーン復元手法に取り組む.その中でも特に,従来研究例が少ない,非平面な計測面や,整列した計測点が存在しない環境下を対象とした手法の実現に取り組む. このような技術の発展によれば,従来,密にセンサを設置しなければ計測できなかった領域も,少ない個数のセンサで計測することが可能となる.その効果として,曲がり角越し状態推定等の自動運転車向けの危険予測への応用や,瓦礫の中から被遮蔽領域の状況を計測しそれを救護活動に活用すること,監視カメラの死角となってしまう領域においてもシーンの状況を把握可能とするセキュリティ用途で用いることなど,幅広いシーンにおける大きな社会的ニーズが期待できる. 本研究では,このようなニーズに応えるために,「研究項目A : 非整列かつ少ない計測点数に基づくシーン計測・復元手法の確立」および「研究項目B: 非平面な中継壁にも適用可能なNLOSイメージング手法の確立」の2つの方向性から研究を進める.2022年度は,この両者のテーマに必要となる任意のNLOSシーン合成データを生成すること,また,それに基づいて機械学習ベースのシーン復元手法を実現することを目的とした手法構築に取り組んだ.具体的には,レイトレーシングに基づいて任意オブジェクトを対象とした被遮蔽シーンを合成し,それを入力とするVision Transformerを活用した機械学習ベース手法の提案を行なった.その結果,従来手法に勝る復元精度および復元に要する計算コストの削減を実現した. この成果は慶應義塾大学AI・高度プログラミングコンソーシアム主催 AICカンファレンスにて発表済みの他,2023年度にさらに改良した手法の外部発表を目指す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は研究計画調書にて述べた2つの研究項目(研究項目A : 非整列かつ少ない計測点数に基づくシーン計測・復元手法の確立,および,研究項目B: 非平面な中継壁にも適用可能なNLOSイメージング手法の確立)の両者の検討に関係する,シミュレーションによるNLOSシーン合成データ生成手法の確立と,そのデータを活用したNLOSシーン再構成技術の実現に取り組んだ.当初の計画とは実装方法が異なるものの,研究項目A・Bにて挙げた研究目的に貢献可能な技術を構築できたため,概ね順調に進捗していると考えている.また,これらの技術については,研究発表欄にて挙げた外部発表を行なっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の成果では,Vision Transformerを用いたNLOSイメージングにより被遮蔽領域のシーン復元が可能であることを確認した.しかし,被遮蔽シーン中のオブジェクトの位置によっては再構成が高品質に行えないという制限があることが分かった.これは,使用した合成データセットの数がVision Transformerを活用したニューラルネットワーク構造に基づく復元手法の教示データとして使用するには量的に不足していたためであると考えられる.そのため,今年度は合成データ数を増やすとともに,任意のオブジェクトに対して高品質な被遮蔽シーン復元を可能にする目的で,様々な形状の被遮蔽オブジェクトをシミュレーションにより生成し学習データに追加する試みを行いたい. また,上記の機械学習に基づく被遮蔽シーン復元手法の精度をある程度向上させたのち,その方法を研究計画として挙げている,非整列かつ少ない計測点数に基づくNLOSシーン計測データの合成や,非平面な中継壁を介したNLOSシーン計測データの合成にも拡張させることで,研究項目A,Bの解決に繋げたい.
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Causes of Carryover |
機械学習用の教師データ生成に想定より計算リソースを要したため,デスクトップPCを追加購入する目的で2023年度予算と合わせて使用することとした.
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Research Products
(1 results)