2023 Fiscal Year Research-status Report
Heterogeneous metric learning に基づく結晶構造予測
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22K21292
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
草場 穫 統計数理研究所, 先端データサイエンス研究系, 特任研究員 (50965803)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 結晶構造予測 / Heterogeneous距離学習 / 元素置換 / マテリアルズインフォマティクス / 計算による新規材料発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、heterogeneous metric learning に基づいたテンプレートベースの結晶構造予測手法の提案を目的としている。本手法では、与えられた化学組成と結晶構造のペアが安定構造であるか否かを判別する関数を結晶構造データベースから学習し、その関数の評価値に基づいたテンプレート構造の提案によって構造予測を行う。当該年度では、化学組成と結晶構造のペアが安定構造であるか否かを判別する関数の推定のために、複数の距離学習モデル比較し最適なモデルの選定を行なった。最適なモデルでは、96%を超える確率で安定構造と非安定構造を分類することに成功した。また、この関数に基づいて提案されたテンプレート構造から、同一組成比でなくても対応可能な元素置き換え手法によって、クエリ組成の安定構造候補を生成するアルゴリズムを完成させた。これらを結合させることで、全体的な結晶構造システムが完成し、このシステムに基づいた結晶構造予測の数値実験を行なった。この結果はポスター発表 (IBIS2023) と口頭発表 (日本化学会春季年会2024) にて報告した。 また、化学組成と結晶構造の情報をできるだけ情報損失が少なく記述子 (=固定長ベクトル) に変換する一般的な枠組みとしてカーネル平均記述子を主に昨年度に開発したが、査読を経て当該年度に論文が出版された [1]。この手法は、結晶構造予測システムを構築する上での基礎技術として活用している。
[1] Kusaba, M., Hayashi, Y., Liu, C., Wakiuchi, A., & Yoshida, R. (2023). Representation of materials by kernel mean embedding. Physical Review B, 108(13), 134107.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、昨年度課題としていた二つの点; (1)バイアスに対処した予測モデルの評価法に基づき、最良の機械学習モデルを選定する、(2)同一組成比でなくても対応可能な元素置き換え手法に基づく結晶構造生成アルゴリズムの作成する、を完了させ全体的な結晶構造予測システムを完成させた。さらに、このシステムによる結晶構造予測の数値実験を行い学会での成果報告を行なった。しかし当該年度は、他の研究に多くの労力を割いたことと、上記二つの課題点の克服に時間を要したため、想定よりも進捗が遅れてしまった。よって、補助事業期間の延長を行った (当該年度が最終年度であったため)。 時間はかかっているが、研究自体は順調に進んでおり、2024年度中の論文発表に問題は無いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」と「現在までの進捗状況」に記したように、以前までの課題点を克服し、この研究課題で提案したアイデアに沿った結晶構造予測システムは一通り完成した。今後、本システムによる結晶構造予測結果を、既存のいくつかの結晶構造予測手法 (我々自身による先行研究を含む) の予測結果と体系的に比較し、この分野における本システムの優れた点や位置付け等を議論する予定である。また、本手法のユニークな点として構造から組成を探す逆向きの予測に対応していると言う点があるため、こちらの方向の予測実験も行い、精度検証と結果のまとめを行う予定である。その後、これらの結果を論文としてまとめ、できれば2024年度の前半までに雑誌への投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れにより補助事業期間を延長し、今年度使用予定であった予算 (英文校正費とオープンアクセス費の一部に充てる予定であった) を次年度に繰り越した。次年度 (2024年度) には論文を完成させ、英文校正費とオープンアクセス費の一部として使用する予定である。
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