Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に(1)軟骨-関節包-靭帯-筋腱複合体の設計, (2)靭帯と開放型関節を含む筋骨格身体の制御, (3)筋配置の最適化を行った. (1)まず, 人体の関節同様な低摩擦性を実現する関節液内包機能と, ひずみゲージを埋め込んだ関節受容機能を備える関節包の設計を行った. 次に, 前年度2次元変形のみ可能であった筋腱複合体を3次元へ拡張し, 人間の筋肉の膨らみと腱の弾性を模倣することに成功した. 加えて, 筋の3次元形状実現を可能とする, 柔軟ラティス構造体を応用した面状筋構造の設計開発を行った. (2)シミュレータにおいて人間の筋配置だけでなく靭帯配置や筋の出力まで模倣した筋骨格ロボットを構築した. シミュレータの微分可能性を応用したモデル予測制御を行い, 人間らしい靭帯配置と筋出力が, より人間らしい動作を生み出すことを発見した. (3)人間と同様の筋配置を実際のロボットに実現することは不可能なため, 人間と同様のパフォーマンスを維持しつつ必要な筋のみ抽出する最適化アルゴリズムを開発した. これをより一般化し, ワイヤ駆動系における汎用的なワイヤ配置最適化アルゴリズムの実装に成功した.
前年度と合わせて, 柔軟3Dプリンタ素材の探索とハンド設計, 人間らしい筋腱複合体設計,低摩擦性を実現する関節包設計とセンサ実装, 開放型関節への靭帯の実装, 面状筋構造の実装, 靭帯を含む肩複合体シミュレーションと制御, 筋配置の設計最適化に成功し, 最終的に当初目標であった開放型関節と靭帯による柔らかな拘束に関する身体設計手法とその制御法だけでなく, 筋配置の最適化や人間らしい筋や靭帯の配置の合理性検証が可能となり, 次世代の人体模倣型筋骨格ヒューマノイド開発に必ず必要となる要素を確立することに成功している.
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