2022 Fiscal Year Research-status Report
HRV解析を応用した, 睡眠時無呼吸患者における睡眠障害の重症度評価
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22K21306
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 那津子 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (90966938)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠時無呼吸 / 心拍変動 / 重症度 |
Outline of Annual Research Achievements |
閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は,睡眠中に完全または部分的な上気道の閉塞を繰り返すことを特徴とし、睡眠の分断化や動脈血酸素飽和度の低下を伴う.しかしながら,終夜睡眠ポリソムノグラフィ(PSG)検査では,脳波上に認められる皮質覚醒反応で睡眠の分断化を評価しており,皮質下覚醒反応は捉えられていない.低呼吸の判定に覚醒反応の有無が関わることから,現在のPSGの無呼吸低呼吸指数(AHI)ではOSAの病態の過小評価となりえる. 本研究では、HRV解析が新たなOSAの重症度の指標になりえるのかを検討することが目的である.適切な解析方法を用いれば,OSAの病態をより評価することが可能になると推察される.これまでに行ったPSG検査に記録されている心電図データを用いて心拍変動(HRV)のスペクトラム解析を行い,OSA患者の睡眠中の自律神経バランスを評価,重症度を反映するかの検討を行う. 2022年度は,SAS患者におけるHRV解析方法の確立を目標とした.まず, PSG検査のデータから睡眠ステージなど睡眠の状態を確認し,HRV解析に用いるサンプル区間を選出,HRV解析ソフトを用いてスペクトラム解析を行うこととした.これまでの多くの研究では5分区間のデータが用いられており,本研究でも5分区間のサンプル抽出を行った.AHIが軽度から中等度であっても,体位依存性,REM睡眠依存性に無呼吸や低呼吸が集中する症例においては,睡眠ステージの移行や覚醒反応による睡眠分断が多く,抽出条件の見直しが必要となった.今後は新たな抽出条件を加え,OSA患者のHRV解析を行い,重症度別,睡眠深度別に自律神経バランスを評価する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の目標であったOSAにおけるHRV解析方法の検討について,ほぼ終えている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は新たな条件でHRVサンプルを追加抽出する.まずは睡眠深度別のスペクトラム解析結果とこれまでの先行研究との比較から,本研究の手法の妥当性を確認する.次にAHI重症度別にスペクトラム解析の結果から,睡眠中の自律神経バランスを評価する.また,AHIとの強い相関はないとされているエプワース眠気尺度とスペクトラム解析結果との相関についても検討を考えている.本研究の成果報告のための学会発表を予定している.
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Causes of Carryover |
研究の進捗に変更があったため。
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