2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on particle formation mechanisms of biogenic polyamines in a subtropical zone of Japan
Project/Area Number |
22K21330
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
佐伯 健太郎 琉球大学, 理学部, 助教 (70962801)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 植物由来VOC / 亜熱帯域大気粒子形成 / ポリアミン / 誘導体化分析 / タンデム型質量分析計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は亜熱帯林由来の大気中ポリアミン類の濃度とその粒子形成を把握するために沖縄県やんばるの観測タワーにて捕集測定を行った。ポリアミン類の捕集には昨年度作成した全天候型の捕集装置を用い,粒子数の計測には走査型移動度粒径測定装置を用いた。大気中からは昨年度の試験結果と同様に1,3-ジアミノプロパン,プトレシン,カダベリンの3種類の代表的なジアミン類が観測され,ブナ科の花が開花する月の気温・日射量が高い日に高濃度となった。その濃度は以前報告したものと比較して3-5倍であり亜熱帯の植生や気象を反映した結果を得ることができたと考えられる。また,日中から夕方にかけジアミン濃度が高くなるとともに,20 nm未満の粒子が発生し,次いで50 nm付近の粒子に推移する典型的な新粒子発生イベントが確認された。一方で,ジアミンよりも粒子形成能が高いとされる二次生成物のアミノアミドは観測されなかったため,亜熱帯におけるジアミンのふるまいは他の地域と異なる可能性が考えられる。さらに,昨年度の試験では検出されたスペルミンが本年度は検出されなった。環境に起因するのか,植物の成長周期によるものなのかはいまだ不明であり,検討を続ける必要がある。 全期間を通じての問いであった亜熱帯林由来の大気中ポリアミン類量および粒子形成への役割について,その一端を明らかにすることができた。一方でアミン類の自動分析装置の確立は大気濃度レベルのポリアミン類分析が可能な水準まで最適化できず,期間内に達成することはできなかった。最適な誘導体化分析用の試薬は選出できたため,今後,試料導入量や分離カラムや温度の最適化や分析機器の選定を行うことで目的の達成を目指す。
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Research Products
(2 results)