2023 Fiscal Year Research-status Report
Deciphering the mysteries of sleep:creating a global network of sleep neurobiologists
Project/Area Number |
22K21351
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳沢 正史 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (20202369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 高志 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (00549644)
本城 咲季子 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (30551379)
林 悠 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 客員教授 (40525812)
史 蕭逸 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (40803656)
桜井 武 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60251055)
坂口 昌徳 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (60407088)
坪田 有沙 (平野有沙) 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60806230)
ラザルス ミハエル 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (80469650)
斉藤 毅 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80609933)
Vogt Kaspar 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80740034)
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Project Period (FY) |
2022-12-20 – 2029-03-31
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Keywords | 睡眠 / 神経生物学 / 脳機能 / 創薬科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究事業の目的は国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)を中心とした神経生物学者のグローバルネットワークを構築し、睡眠の謎を解明することである。IIISは最先端技術を駆使して睡眠の謎に挑み、得られた多くの知見は睡眠の謎を解くための基礎となったが、謎は完全に解明されたわけではなく、睡眠時間の遺伝的制御等の大きな謎が残されている。睡眠の謎の完全解明のためには、私たちと異なる観点や技術を有し、能力を補完し合う専門家の協力・支援が必須である。 この共同研究は、神経生物学の以下の4つの領域でさまざまなレベルの問題に取り組んでゆく。1.分子・細胞神経生物学:睡眠覚醒の制御に関わる遺伝子、タンパク質、細胞間情報伝達物質などあらゆる“分子”を網羅的に洗い出し、複雑なパズルの1ピースずつをはめ込むように、睡眠の全体像を完成させる。2.神経回路・システム神経生物学:睡眠覚醒制御の実行系である神経回路について、その複雑に張り巡らされた一つひとつを神経機能・形態学的に解きほどき睡眠の操作を人工的に可能にすべく、その神経回路の特徴さらには正体をあらわにする。3.認知・行動神経生物学:我々の意識レベルに着目しそれを万全な状態で健康的に保つには、いかに脳や身体に良質な睡眠が必要であるかについて考えを深める。4.化学神経生物学:革新的なツールの開発に挑み、これまでにない切り口で睡眠覚醒制御機構を分解することによって睡眠の操作を可能にする技術を得る。 具体的には、毎年複数名の若手研究者を海外パートナーである世界トップレベルの共同研究者のもとに2-3年の期限で派遣し神経生物学者のグローバルネットワークを組織するとともに、自らの可能性を革新したい若手研究者の自立性構築のためのサポートに注力する。2年目にあたる令和5年度は2名の長期派遣を開始すると共に、今後の長期派遣につながる準備としての短期派遣も2名行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IIISはWPIアカデミー拠点として国際頭脳循環の活性化という使命をもち、その活動の更なる強化として本国際先導研究事業を進めている。今年度は国際シンポジウムを2024年3月1日千里ライフサイエンス財団との共催で開催し(豊中市)、海外から研究者4名をゲストスピーカーとして招聘したが、IIIS機構内でもセミナーを別途開催すると共にIIIS若手研究者、大学院生との昼食会を設け活発な交流を進めた。これ以外にも随時、海外共同研究者が訪日する際IIISにもゲストスピーカーとして招待し、のべ10回のセミナーを実施。その都度大学院生や博士研究員などの若手との昼食会も開き、直接的な会話を通して研究分野に関するグローバルネットワーク構築を進めた。 長期派遣としては、2023年6月よりIIIS坂口研究室の博士研究員1名をトロント大学Frankland教授(CAN)の研究室に派遣(2年を予定)、睡眠時の記憶エングラム形成におけるde novo髄鞘形成の役割に関する共同研究を進めている。また2024年1月よりIIIS阿部研究室より博士研究員1名をウィスコンシン・マディソン大学Tononi教授(USA)の研究室に派遣し(3年を予定)、脳刺激による徐波睡眠や脳波成分への影響に関する共同研究を開始した。 将来の長期派遣を見越した短期派遣として、IIIS櫻井・平野研究室1名がオックスフォード大学Vyazovskiy教授(UK)の研究室を訪問し情報交換をし、WPI拠点事業と組み合わせてNeuroscience 2023(USA)に参加しポスター発表も行った。またIIIS助教1名がSpring Hippocampal Research Conference (Italy)に参加し情報交換すると共に、ハーバード大学Engert教授(USA)と共同研究に関する打合せを行うなど、着々と将来の国際共同研究の礎を築いている。
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Strategy for Future Research Activity |
本国際共同研究は、WPIアカデミー拠点事業と合わせて国際頭脳循環・国際共同研究を促進させる大変重要な事業である。今年度もIIIS主催で国際シンポジウムを都内で予定しており、海外から研究者を招聘することに合わせてIIISセミナーを開催すると共に、博士研究員や若手研究者との昼食会を企画し、多くの若手研究者に海外トップレベルの研究者と直接コンタクトする場を供給する。 短期派遣に関しては、今まで個々の若手研究者から自発的に問合せがあった際に勧めていたものを、WPIアカデミー拠点事業であるIIISトラベルグラントと関連づけて積極的に募集をかけ、将来の留学・共同研究に意欲のある若手研究者に対し海外での学会発表や研究室訪問の機会を与える制度として進めていく。 長期派遣に関しては、現在2名の若手研究者を派遣中であるが、今年度更に3名を追加し計5名とする予定であり、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス等に常時派遣している状況になりつつある。そして、これらの若手研究者が帰国した後も、引き続き他の研究員を派遣する準備を進めている。 これらの試みにより、IIISを中心とした海外ネットワークをさらに拡大し、国内外のハブとして世界トップレベルの国際共同研究を展開していく。
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナの影響から回復する途上にあり、派遣事業にやや遅れが生じたが、令和6年度は短期、長期ともより多くの派遣を予定している。また海外との共同研究をはじめ、セミナー、シンポジウム等も含め国際交流がより活発化する事が見込まれている。
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Research Products
(3 results)