2023 Fiscal Year Research-status Report
位相検出界面顕微分光(Micro-HD-SFG)による分子の三次元構造と電荷状態の可視化
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22K21361
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
関 貴一 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60914900)
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Project Period (FY) |
2023-03-01 – 2026-03-31
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Keywords | 振動分光 / 顕微分光法 / 非線形光学 / 構造化学 / 界面 / 表面 / 和周波発生 / 分子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規顕微分光システムは,界面の非線形光学応答である和周波発生を基軸にしたものであり,従来のチタンサファイアレーザーを元にした分光システムでは,安定性や信号強度に課題が予想されたため,新たに高繰り返しのフェムト秒超短パルスレーザーと光パラメトリック増幅器の組み合わせの選定を進めた.2023年末頃までに学内での仕様策定委員会での会議を経て,2024年2月に政府調達として入札公告を行った.そして立ち上げ段階にある自身の研究室に,高精度な光学実験を行うための土台として,複数の光学除振台や高分解能かつ高感度な分光検出装置の導入を行い,さらにハイパワーのレーザーシステムのための電気系統の整備を行い研究環境を整えてきた.さらにその一方で,顕微分光測定の対象となる,サンプルを作製・評価するための顕微ラマン分光装置などを構築してきた.このようにして次年度の研究課題である,分光装置開発のための足場を固めてきた.フェムト秒パルスレーザーシステムの導入後には,即座に新規分光システムの構築に取り掛かる予定である.装置構築の準備に加えて,新規顕微分光法でアドオンとして加えていく,スペクトル解析法の開発にも取り組んだ.そして界面の分子数の定量測定に取り組み,気液界面の最表層の水分子のOH基の数を測定することで,電解質水溶液の界面最表面に存在する化学種の特定に成功した( Seki, T. et al. Environ. Sci. Technol. (2024).).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の最大の課題は,新規顕微分光装置構築のための高繰り返し超短パルスレーザーと光パラメトリック増幅器の組み合わせの選定であった.パルス幅やパルスエネルギーなどの組み合わせを考慮し,微弱な界面からの非線形光学応答を取得するためのパラメータを有するパルスレーザーシステムを選定することができたと考える.しかし,コロナ禍などの理由のため,レーザーシステムの生産が遅れている状況であり,パルスレーザーシステムの研究室への導入が2024年度半ば以降と予想される.その一方で,顕微分光法の対象となるサンプル作製・評価をするための顕微ラマン分光装置などを構築することができ,2024年度での顕微分光装置開発のための研究環境の土台が完成しつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたように,除振台の導入や分光システムの導入を順次行い,2024年度での顕微分光装置開発のための研究環境の土台が完成しつつある.フェムト秒パルスレーザーが導入され次第,鋭意,新規顕微分光装置の構築に取りかかる.
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Causes of Carryover |
政府調達により入札されることになったフェムト秒パルスレーザーシステムの開札が次年度となったため,その購入のための費用を次年度使用する必要がある.2024年度中頃には,レーザーシステムが導入される予定であり,その費用に当てる.
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Research Products
(5 results)