2021 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素を利用したカルボキシル化によるフランジカルボン酸合成
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21F21352
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 清隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (90451997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PADOVAN DANIELE 北海道大学, 触媒科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-09-28 – 2024-03-31
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Keywords | バイオマス変換 / コルベシュミット反応 / フルフラール / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
二酸化炭素を活性化する触媒担体として、ニオブおよびチタンを含有した複合金属酸化物に着目して、その高表面積化および酸塩基触媒性質を精力的に検討した。2つの金属塩を同時に沈殿させて酸化物前駆体を得る共沈法は汎用的かつ単純な手法であるが、対象となる組成に制約を受けることが分かった。一方、錯体重合法やアモルファス金属錯体法ソフト溶液プロセスを駆使すると、①比較的に広範囲で組成の制御が可能であること、②表面積が20-30平米の高表面積化が可能であること、③アモルファス金属錯体法の活用により不活性なアルミナ担体の表面などに複合酸化物微粒子を含浸担持法によって調製できること、を検証した.系統的な構造解析に加え、合成した触媒を簡便的な糖変換反応にて調査した。 アルカリ土類金属を第二成分としたTiおよびニオブ系複合酸化物を系統的に検討し、特にBaやSrを含むニオブ系複合酸化物(BaNb2O6, SrNb2O6など)がキシロースの脱水反応に有効な酸塩基性質を有すること、更に希土類の一つであるイットリウムを第二成分とする複合酸化物(YNbO4)がグルコースの脱水反応に有効であることが分かった。二酸化炭素の昇温脱離分析を実施したところ、二酸化炭素の吸着に有効な塩基サイトまたはルイス酸サイトをもつことが確認されており、対象とするコルベシュミット反応にも適用可能ではないかと想定している. 実際のコルベシュミット反応は高純度の二酸化炭素ガス流通下または加圧下にて実施する。予備検討として市販のスプレー缶を利用した二酸化炭素流通下にて炭酸セシウムとフラン酸による過去の反応をトレースしてみたところ、既報の反応効率を精度よく再現できることを確認した。次年度の初頭に流通反応および加圧反応を定常的に実施する環境整備が完了するため、これまでに調製してきた固体ルイス酸塩基触媒を活用した反応系の構築に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの状況を振り返って順調に進展していると判断した理由は、①触媒開発が順調に進んでいること、②過去の研究グループが実施した反応系を再現できたことにある。前者は本研究の中心となる部分であり、その進捗が研究成果に大きな影響を与える。これまでに候補となる触媒材料が開発されており、反応系が確立すればすぐに検討を開始することができる。反応系の構築に関しても基本的な原理検証が確実に終了した段階であること、さらに必要な器具類の調達が順調に進んでいることを考慮すると、こちらについても大きな懸念材料は見当たらない。以上より、当初の研究計画に沿って概ね順調に研究を推進できていると結論づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は触媒反応系のデザインに注力する。まず対象となる基質を2つに絞る、具体的にはフルフラールのアセタール体およびフロン酸である。まず初めに二酸化炭素の流通反応装置を利用してフロン酸とこれまでに調製してきた固体触媒を混合して加熱することにより反応の進行を確認する。セシウムを含む多様なカチオンを利用して、その導入量と反応生成物の関係を評価する。より汎用的なナトリウムやカリウムが利用できるようになるだけでも大きな発展であるため、触媒サイクルの構築と合わせてカチオン種の影響を丁寧に追跡する。 二酸化炭素の活性化メカニズムを検討するため、非炭酸塩を使用した反応系を重点的に検討する。非炭酸塩系で反応が進行しない場合、反応系内に存在している炭酸イオンが挿入反応の起源となっているケースがあり、それを検証する。 CH結合の活性化ステップに難点がある場合、酸塩基性質による活性化制御に加えて担持金属種の導入を検討する。金属種の選択に関しては過去の研究例を参考にして選定する。
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