Development of anti-tick vaccines targeting tick symbionts

2021 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21F21390
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 中尾 亮 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50633955)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): MOHAMMED ABDELBASET 北海道大学, 獣医学研究院, 外国人特別研究員
• Project Period (FY): 2021-11-18 – 2024-03-31
• Keywords: コクシエラ様共生菌 / マイクロビオーム / ビタミンB / マダニ / ワクチン / RNAseq

Outline of Annual Research Achievements

マダニは様々な病原体を保有し、吸血時に人や動物に伝播する。我々がこれまでに行なったマダニの微生物叢解析の結果から、マダニは病原体以外にも多様な微生物群を保有することが明らかとなっている。また、先行研究では、一部の微生物はマダニ体内でビタミンB群の生成を担うなど、マダニの生存に重要な共生菌であることが報告されている。本研究では、マダニの共生菌の中でも、広くアジア地域に生息するチマダニ属マダニが高率に保有するコクシエラ様共生菌に着目し、コクシエラ様共生菌をターゲットとするワクチンの作出を目的とした。
今年度は、フタトゲチマダニ実験室維持株（高知株）を解剖し、コクシエラ様共生菌が多く局在することが報告されているマルピーギ管および卵巣を摘出した。コクシエラ様共生菌特異的プライマーを用いたPCRにより、コクシエラ様共生菌の定量を行なった。さらに、マルピーギ管および卵巣を材料に界面活性剤およびダウンス型ホモジナイザーにより組織を破壊し、内部に共生するコクシエラ様共生菌を精製・回収方法を検討した。
次に、データベース上のフタトゲチマダニドラフトゲノム（ニュージーランド株）から、Blastnによりコクシエラ様共生菌のゲノムを抽出した。得られたコクシエラ様共生菌のドラフトゲノム情報に対して、フタトゲチマダニ吸血前後のRNAseqデータをマッピングし、マダニの吸血開始後に有意に発現上昇がみられるコクシエラ様共生菌遺伝子を特定した。これとは別に、吸血前後において常に発現レベルの高い遺伝子も上位50個特定した。得られた遺伝子に対し、フタトゲチマダニ以外のマダニ種に共生するコクシエラ様共生菌のゲノム情報、およびコクシエラ様共生菌に近縁なCoxiella burnetiiのゲノム情報を加味し、最終的に10種の遺伝子をワクチン候補として選定した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画通り、フタトゲチマダニが保有するコクシエラ様共生菌の精製・回収法が確立されたこと、さらにRNAseq解析によりコクシエラ様共生菌の発現遺伝子についての情報が得られ、組換えタンパク質の発現精製が可能となったことから、おおむね順調に進展していると自己評価する。

Strategy for Future Research Activity

コクシエラ様共生菌のワクチン候補遺伝子について、組換えタンパク質を作出する。組換えタンパク抗原を用いて動物を免疫し、免疫が付与された動物を用いて、マダニ吸血試験を行うことで、抗マダニワクチンとしての効果を検証する。また、ワクチン候補遺伝子のマダニ体内での機能を考察するため、RNAi干渉法によりターゲット遺伝子のノックダウン試験を計画する。