2022 Fiscal Year Annual Research Report
Activation of sperm/uterine innate immune receptor TLR2 for high fertility after cow embryo transfer
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22F22395
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
宮本 明夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10192767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMMADU AKUTHAR MUHAMMED IHSHAN 帯広畜産大学, 畜産学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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Keywords | 精子 / 受精卵 / 子宮 / TLR2 / 受胎性 / 自然免疫 / ウシ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウシ受精卵移植後の高い受胎性を安定して得るために、①移植される側である受卵牛の子宮内の適度な生理的炎症反応による受精卵寛容の向上、②移植する側の体外受精卵の質と量の安定確保、の両側から、自然免疫受容体TLR2活性化を介した生理基盤の上に、受精卵移植までを通して検証するチャレンジである。人工授精時に精子が誘導する自然免疫反応(炎症)と同質の刺激を受卵牛にTLR2活性化で作出して、一方、ウシ精子TLR2を活性化して受精能・初期胚発生能力向上させ、上質で受胎性に優れる体外受精胚を作出して移植に進むスキームである。初年度(R4年度)は、①の子宮における精子に対する自然免疫反応の子宮と精子の免疫クロストークの動態の詳細を調べ、ウシ精子TLR2活性化が深く関与していることを明らかにした。次年度(R5年度)以降は、②体外受精卵の質と量について、TLR2活性化されたウシ精子の体外受精系における受精率と発生率、そしてその生存性やINFT産生能力について、詳細に検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度は半年間であった。①移植される側である受卵牛の子宮内の適度な生理的炎症反応による受精卵寛容の向上について、子宮小片の器官培養による ex-vivo モデルと精子運動性の詳細なビデオ解析(CASA)モデルを駆使して、その分子メカニズムを調べた。TLR2アゴニストPamで活性化した子宮の自然免疫応答の詳細と共に、PamでTLR2を刺激された精子の運動性の変化の特徴をビデオデータで解析した。その結果、TLR2 活性化で精子は受精能獲得と同様の超活性化に似た、頭部を大きく振る運動パターンに移行するものが増えることがわかった。精子運動性の特徴と、子宮腺に侵入して炎症を誘導する、一連の連続したダイナミクスは、受精の際に必要な受精能を獲得した精子の運動性とほぼ同様であった。加えて、精子が子宮腺に侵入して炎症誘導すると、その免疫環境(炎症性因子)が、他の自由な精子群の超活性化を誘導して、さらに子宮腺に侵入する精子数を増加させることが示唆された。以上の結果から、子宮内に人工授精された精子の一部はすぐに超活性化を起こし、子宮腺により侵入して、子宮内TLR2刺激によって生理的な弱い炎症を誘導することに深く関与していることが考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本企画のゴールは、ウシ受精卵移植後の高い受胎性を安定して得ることである。 移植される側である受卵牛の子宮内の適度な生理的炎症反応による受精卵寛容の向上、そして、移植する側の体外受精卵の質と量の安定確保、の両側から、自然免疫受容体TLR2活性化を介した生理基盤の上に、大規模なウシ受精卵移植までを通して検証するスキームである。本来、人工授精の際に精子が誘導する子宮腺TLR2から始まる自然免疫反応(炎症)と同質の刺激を受卵牛で精子なしで作出し、ウシ精子の自然免疫センサーTLR2を介する受精・初期胚発生能力活性化の機能解明による、上質で受胎性に優れる体外受精胚を作出して、受精卵移植することを目指す。
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Research Products
(1 results)