2022 Fiscal Year Annual Research Report
Magnetization dynamics in synthetic antiferromagnets for memory application
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22F21777
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水上 成美 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (00339269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Sud Aakanksha 東北大学, 材料科学高等研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 積層反強磁性体 / 磁化ダイナミクス / 非線形ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、磁気メモリ素子や計算素子等への応用に向けた積層反強磁性体の磁化ダイナミクスについて研究する。本年度は、磁性パーマロイ合金/Ruスペーサー/磁性パーマロイ合金の三層積層反強磁性構造の磁化ダイナミクスを調べた。試料は現有のスパッタ装置で作製した。磁化ダイナミクスと磁性層間相互作用の関係を調べる目的で、Ruスペーサーの厚みを様々に変えた積層反強磁性体を作製した。また、強磁性モード(音響モード)や反強磁性モード(光学モード)といった積層反強磁性体に固有の高速磁化ダイナミクスを、スピン流を用いて励起し異常磁気抵抗効果を用いた手法で検出した。それらの線形モードダイナミクスに加えて、モードの振幅が大きい、いわゆる非線形領域のダイナミクスを観測することに成功した。非線形領域になると、強磁性モードの周波数が反強磁性モードの周波数の1/2となる磁場において、固有周波数に特徴的な変化が現れることが実験的に明らかとなった。実験結果はマクロスピンモデルを用いた数値シミュレーションと定性的に一致し、非線形領域では強磁性モードが反強磁性モードと混成した特異なダイナミクスが発生するためであることが明らかとなった。微視的には波数ゼロの強磁性マグノンと反強磁性マグノンの関与する3マグノン散乱の効果とも解釈できるが、まだ不明な点は多く、さらなる研究が必要である。なお、これらの実験結果は応用物理学会で報告し、議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、メモリ等の応用に向けた積層反強磁性体の磁化ダイナミクスについて研究し、線形ならびに非線形磁化ダイナミクスに対する様々な磁性層間相互作用の影響を明らかにすることを目的としている。それにより、エネルギー効率と高速性に優れたメモリや計算に応用できる積層反強磁性体デバイス実現への知見を得る。これまで線形領域のダイナミクスはよく知られていたが、本年度の研究から積層反強磁性体に内在する特異な非線形ダイナミクスが明らかとなってきており、理論的な理解も進んでいる。このように研究は順調に進んでいるため、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得た成果をもとにさらに詳細な研究を進める。マクロスピンモデルに加え、マイクロマグネティックシミュレーションも併用することで、ダイナミクスの更なる理解を進める。非線形性の起源を明らかにしつつ、非線形ダイナミクスと、磁性層間相互作用や磁気ダンピングとの定量的関係を明らかにする。これにより、メモリあるいは計算素子等に非線形ダイナミクスを応用するための指針を得る。
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Research Products
(3 results)