2022 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期「内地」の教育雑誌に見られる「内地人」教師の「外地」認識と授業実践
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22F22314
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
國分 麻里 筑波大学, 人間系, 教授 (10566003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU JUN SANG 筑波大学, 人間系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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Keywords | 戦前期 / 教育雑誌 / 授業実践 / 内地 / 朝鮮 / 台湾 / 日本人教師 / 日本人児童 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦前期において「内地」と呼ばれていた日本本土で発行された諸教育関係雑誌から、「外地」とされていた朝鮮半島や台湾島をはじめとする諸地域に関する論考や「授業実践」記録を選別して検討することで、日本人教師たちがどのような「外地」認識を持っていたかを分析することであった。今年度は研究機関が6カ月ということであり、研究業績には目を見張るものがなかったが、以下の2点を業績をとして挙げることができる。 1点目は、課題研究と深く関係している主な史・資料や先行研究について調べ、そのリストをデータベース化したことである。具体的に言うと、本年度には国立国会図書館や筑波大学附属図書館などの施設を利用し、『大日本教育会雑誌』・『帝国教育』・『教育時論』・『歴史教育』のような戦前の教育関係雑誌について調査した。そして、それらの雑誌から朝鮮半島や台湾島に関連する様々な論考と「授業実践」記録を選別したうえ、そのリストをデータベース化した。また、課題研究に関わる先行研究についても検索し、リスト作りを行った。 2点目は、データベース化したリストを基に、大まかな中身を確認して課題研究において優先的に必要だと判断される史・資料を収集すると共に、先行研究について検討したことである。つまり、課題研究の遂行のために必要な史・資料や先行研究のリストが、大体完成した段階で、国内に散在している史・資料及び先行研究の収集を実施した。同時に先行研究については、課題研究の研究意識を一層明確にしていくため、精読して整理した。 以上、今年度に行った研究の意義とは、課題研究に用いる基本的な史・資料や先行研究を確保したことで、研究の基盤が構築されたことである。これによって二年間の研究基盤が整ったとみてもよく、大変重要な作業だったと評価することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が開始された初年度の2022年度の半年間は、研究環境が変わったこともあり、新しい環境に適応すると同時に、これからの研究体制を構築する時間も必要だった。そのため、当初の研究計画よりは、少し進んでいない部分もある。例えば、史・資料や先行研究を読んで問題意識を明確にする、という作業が満足に行われたとは言い難い。 ただし、こうした部分は、研究計画を作成した時にも、ある程度予想していたので、想定の範囲内である。つまり、「研究実績の概要」で既述したように、今年度の研究成果は、研究の体制が十分に整い、所期の目標を達成することができたことである。これによって今後、研究の進み具合が一層進展すると見込まれ、少し進んでいない部分を補っていくことが可能であると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、以下の4つである。1つ目は、史・資料や先行研究のリストを一層補強していくことである。つまり、2022年度には史・資料や先行研究のリストが大方完成されたが、少し補っていく部分もあるので、補足作業を続ける。2つ目は、史・資料や先行研究の収集をより強化していくことである。今年度には史・資料や先行研究の収集に当たって、日本国内に限定して実施した。だが、課題研究のために必要な史・資料や先行研究は、日本国外にも存在しているので、それらの収集も行う予定である。3つ目は、本年度に引き続き、収集した史・資料や先行研究を読み込んで、課題研究のための問題意識をより鮮明にしていくことである。研究の体制が整備されたこともあり、次年度からは、スピードを一段と上げていくことが可能であると見込んでいる。4つ目は、課題研究に関わるテーマを定め、学会発表を目指すと共に、学会誌への論文投稿の準備を進めていくことである。特に学会発表においては、発表のタイミングを計りながら、発表文を完成させたい。そのうえ、学会発表での成果を拡大させ、学会誌へ投稿する論文の下書きを書いていこうとしている。
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