2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21F21414
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 忠弘 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (20447262)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARIYANI WINDA 群馬大学, 生体調節研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2021-11-18 – 2024-03-31
|
Keywords | 視床下部 / チロシン水酸化酵素 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究結果により、視床下部室傍核のドーパミンニューロンが、摂食行動や肥満発症に関与していることが疑われる。そこでドーパミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)を指標にして、室傍核ドーパミンニューロンの組織学的な検討した。室傍核のTH発現ニューロンには、NPYニューロンやPOMCニューロンの神経線維が近接しており、これらの弓状核ニューロンからの投射を受けている可能性が示唆された。また、室傍核のTHニューロンは、GABAのマーカーであるGAD67と高い割合で共局在しており、GABAニューロンでもあることが示唆された。また、神経の活性化マーカーなどとの共染色により、室傍核のTHニューロンが絶食後の再摂食時に活性化されることが見出された。そこで、室傍核特異的TH欠損マウスを用いて摂食行動を調べたところ、絶食後の再摂食が欠損マウスで有意に減少していることが明らかになった。空腹時における摂食行動に室傍核のドーパミンニューロンが重要な働きをしている可能性がある。 Th遺伝子の発現調節における、DNAメチル化修飾の役割を明らかにするため、Th遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化修飾をエピゲノム編集により操作することも試みている。現時点では、遺伝子導入などの点で問題があるため、DNAメチル化修飾の操作が十分には誘導できていないが、今後、実験条件を改善してエピゲノム編集実験を成功させたい。 これら研究は食欲の調節機構や肥満発症機構の解明につながる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一つ目の課題としていた、室傍核のドーパミンニューロンの特徴についての解析を順調に進めることができた。また、二つ目の課題としていた、細胞レベルでのエピゲノム編集実験を開始することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、室傍核のドーパミンニューロンの摂食状態依存的な活性状態の変化をファイバーフォトメトリーなどにより解析するとともに、順行性トレーサーや逆行性トレーサーを用いて室傍核のドーパミンニューロンの投射先も明らかにしたい。 また、エピゲノム編集実験を成功させ、細胞レベルや個体レベルでのゲノム領域特異的なDNAメチル化修飾の役割の解析を行いたい。
|