2021 Fiscal Year Annual Research Report
構造異常タンパク質の細胞内動態制御機構とその病態生理的意義の解明
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21F21078
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 茂穂 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20344070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LO MEGAN 東京大学, 薬学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-07-28 – 2024-03-31
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Keywords | ユビキチン / アグリソーム / タンパク質品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチン-プロテアソーム系(UPS)は、真核細胞における主要なタンパク質分解機構である。UPSの機能が低下すると、分解されなかったユビキチン化タンパク質は、中心体周辺に運ばれ、アグリソームと呼ばれる構造に蓄積する。アグリソーム形成はp62がユビキチン化タンパク質を集め、HDAC6がユビキチン鎖を認識し、これらをダイニン複合体が微小管依存的に中心体周辺へ輸送すると考えられている。これまでの研究では、従来の報告とは異なり、HDAC6のノックダウンではユビキチン陽性のアグリソーム形成抑制効果は非常に弱かった。これまで所属する研究室がスクリーニングを行い、新規アグリソーム形成因子の候補として、FAF2とPLAAを同定している。FAF2とPLAAがダイニン複合体との結合やアグリソーム形成にどのように関わるのかメカニズムについて解析を行った。 また、アグリソームに輸送されるものがどのようなタンパク質なのか、またそれらが運ばれるのが、オートファジー分解のためなのかなど、アグリソームの生理機能についてわかっていないことが多い。アグリソーム形成の生理機能に迫るため、アグリソームに輸送されるタンパク質の同定を行う。これまでアグリソーム局在タンパク質は、細胞骨格や核タンパク質と、生化学的に分離同定するのが困難であった。p62-turboIDによってビオチン化ラベルしたものを質量分析器により解析することで、アグリソーム局在化タンパク質候補を網羅的に同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた因子の解析は順調に進んでいる。 それに加えて、p62-TurboIDによる近接ラベリング法を導入することにより、アグリソームの基質を網羅的に同定することに成功した。これを手がかりにアグリソームの生理的機能に迫る新しい方向性を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキチン-プロテアソーム系(UPS)は、真核細胞における主要なタンパク質分解機構である。UPSの機能が低下すると、分解されなかったユビ キチン化タンパク質は、中心体周辺に運ばれ、アグリソームと呼ばれる構造に蓄積する。アグリソーム形成はp62がユビキチン化タンパク質を 集め、HDAC6がユビキチン鎖を認識し、これらをダイニン複合体が微小管依存的に中心体周辺へ輸送すると考えられている。 所属する研究室に おけるこれまでの研究では、従来の報告とは異なり、HDAC6のノックダウンではユビキチン陽性のアグリソーム形成抑制効果 は非常に弱かった 。これまで所属する研究室がスクリーニングを行い、新規アグリソーム形成因子の候補として、FAF2とPLAAを同定している。 2021年度には、F AF2が脂肪滴に局在すること、凝集と直接相互作用しないこと、ダイニンへの凝集の積み込みには影響しないことを明らかにし、凝集を集合さ せる機能を持つことまでを突き止めた。本年度は、このメカニズム解明をさらに推進する。 上記の解析と並行して、プロテアソームの細胞内局在がmTORシグナルに依存して変動することを明らかにした。プロテアソームの核局在は核 タンパク質分解に必要であり、局在制御は細胞生物学的に極めて重要な課題であり、メカニズム解明に取り組む。
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