2021 Fiscal Year Annual Research Report
Developing a geometric theory of delay-differential Painleve equations: singularities, entropy and integrability
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21F21775
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
WILLOX Ralph 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (20361610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STOKES ALEXANDER 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-11-18 – 2024-03-31
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Keywords | 遅延型微分方程式 / 関数方程式 / 離散可積分系 / エントロピー / 特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
「特異点」 というものは19世紀以来の物理学と数学の研究においてもっとも大きな役割を果たしてきた数学的概念である. 近年, 自然現象を記述する微分方程式の特異点の構造に基づき,その物理的現象の分析を厳密に行うことが可能となる方程式が増えてきたものの, 数理モデルによく用いられる「遅延型微分方程式」の特異点構造についてはほとんどわかっておらず, そういった方程式の特異点と解との関係はまだ知られていない.本研究では,遅延型微分方程式の特異点構造を解析するために新しい幾何学的理論を開発すること,及びその幾何学的理論に基づき, 遅延型微分方程式の解の特徴を研究することが主な目的である. また,一世紀間以上の研究のおかげで,常微分方程式や偏微分方程式, 並びに常差分方程式などの多くの数理モデルに対しては,モデルの「可積分性」がその方程式の特異点の性質に基づいて定義されるようになったものの,非線形偏差分方程式やそれと密接な関係にある関数方程式や遅延方微分方程式などに対しては,そのタイプの方程式における可積分性の決定的な特徴は未だに知られていない. 遅延型微分方程式などにも適用できる忠実な可積分性指標の開発はもう一つの重要な目的である. 前者の研究目的については,初年度の2021年度には,A.Stokesが2020年に遅延型常微分方程式の特異点構造を解析するために提唱した数学的手法を用いて,いくつかの方程式の解析を開始し,方程式の一般解の複雑性を測る数学的指標を考案し始めた.また,後者の目標に関しては,2次元の写像の可積分性を判定するために導入された数学的道具の高次元の写像への拡張を研究し始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度には,A.Stokesが2020年に遅延型常微分方程式の特異点構造を解析するために提唱した数学的手法に基づき,遅延型微分方程式を高次元のjet空間上の写像とみなし,そのjet空間上の写像を用いて元の遅延型方程式の特異点を分類するために,また特異点の構造を方程式の可積分性と結びつけるために,計画通りで,まず いくつかの具体的な方程式を分析し始めた.特に,これから提唱されるさまざまな可積分性指標及び可積分性判定法の忠実さを計るために,特異点閉じ込めという可積分系に不可欠と思われている性質を持つ非可積分な高次元の写像をいくつか構成した. さらに,写像の代数的エントロピーの計算に用いられる手法のうち一番期待を持たせる,写像の特異点構造を保つ非自励化に基づく「full-deautonomisation」という手法を高次元の写像へ拡張する予定である.そのため,初年度の2022年度にはまず2次元の写像の場合,full-deautonomisation手法の幾何学的根拠を考察し,full-deautonomisation手法の忠実性を証明する方針を打ち立てた.
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Strategy for Future Research Activity |
高次元の写像を用いて遅延型微分方程式の特異点構造を特定することが本研究計画の中心的なアイデアである.そのため,第一段階で,一般的な高次元の写像の特異点と写像の可積分性との関係を系統的に結び付ける必要があり,特に高次元の写像の忠実な可積分性指標を導入することが不可欠である.そのため,まず,2021年度の研究成果を踏まえて,2次元の写像の場合に導入された様々な可積分性判定法の高次元の写像への拡張を考察し,その判定法のうち一番適切な手法を特定する必要がある.特に,写像の代数的エントロピーの計算に用いられる,写像の特異点構造を保つ非自励化に基づく「full-deautonomisation」という手法を高次元の写像へ拡張し,その手法の忠実性を調べる予定である. また,それと並行する形で遅延型パンルヴェ方程式の特異点構造を解析し,それによって遅延型常微分方程式における「可積分性」と両立する特異点構造を分類すること,及びその構造とgenericな非可積分な遅延型常微分方程式の特異点構造と異なる点を考察する予定である. 研究が速やかに進んだ場合,考察した遅延型方程式の特異点構造と代数的エントロピーの間の関係についても研究を行う予定である.
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Research Products
(1 results)