2023 Fiscal Year Annual Research Report
単原子合金触媒の電気化学的還元性能向上のための放射光オペランド解析
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22KF0074
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 慈久 東京大学, 物性研究所, 教授 (70333317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU DAOBIN 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | コバルトフタロシアニン / CO2還元反応 / オペランド測定 / HERFD-XAFS / 軟X線吸収分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
原田が強みとする、機能に直接関わる電子状態を捉えるオペランド軟X線吸収・発光分光を用いてLiu Daobin氏がこれまで取り組んできた単原子合金触媒や二次元系触媒の機能発現メカニズムを明らかすることを目指して共同研究を行った。具体的には①イリジウムドープ酸化ルテニウム(Ru1-xIrxO2)固溶体触媒の酸素発生反応、および②グラフェン担持CoPc(CoPc/G)の電気化学的CO2還元反応に対象を絞ってLiu Daobin氏が合成から放射光分析までを行い、データ解釈及び論文執筆について原田・Liuの共同で作業を行った。以下に結果の詳細を示す。 ①Ru1-xIrxO2固溶体触媒の効率的な酸性下における酸素発生反応(OER)機構と安定性について検討した。LiNO3およびNaNO3から得られたRu0.7Ir0.3O2触媒のOER性能をLiu氏が評価したところ、両触媒の活性はほぼ同じであり、市販のものよりはるかに優れていた。さらに安定性については、酸性電解液中での劣化率が低く、長時間安定であることがわかった。結晶構造については固溶体相であり、粒界とRu 空孔を持つ小さなナノ粒子からなることがわかった。また電子状態については、印加電位の増加とともに非可逆的な酸化を示し、格子酸素酸化機構はOERに関与しないと推測された。 ②CoPc/GのHERFD-XAFSおよび軟X線吸収によりCoサイトの電子構造変化を調べた。HERFD-XAFSでは、CoPc/GのCoサイトが中間体(*COOH/*CO)と相互作用し、反応中に可逆的な挙動を示すことを示唆する結果を得た。一方軟X線吸収ではCoサイトが反応過程においてCo2+酸化状態のままであることを示唆する結果を得た。
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