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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Mechanistic insights of microbial exudates in complexation and redox kinetics of iron and copper in aquatic environments

Research Project

Project/Area Number 21F51388
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

小畑 元  東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (90334309)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) LEE YING-PING  東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
Project Period (FY) 2021-11-18 – 2024-03-31
Keywords腐植物質 / 銅 / 錯化容量
Outline of Annual Research Achievements

水圏環境において植物プランクトンが一次生産に果たす役割は重要であり、その生育環境を十分に把握する必要がある。植物プランクトンにとって鉄や銅などの金属は必須微量栄養塩であるが、その存在状態によって植物プランクトンによる取り込みプロセスが異なることが知られている。そこで本研究では水圏環境における鉄と銅の存在状態とその変化に関わるプロセスを研究する。
本年度は水圏環境における銅の存在状態を明らかにするため、水中の腐植物質を電気化学的に測定するための分析法を検討した。腐植物質は海水中の銅に対して有力な配位子と考えられるが、その濃度分布や錯化容量は十分に解明されていない。本研究では海水中に銅を添加して腐植物質と錯生成させ、カソーディックストリッピングボルタンメトリーで銅の錯体を検出する方法を適用した。国際標準試料を入手し海水中に添加したところ、天然水中の腐植物質を検出するのに十分な感度を得ることができた。また、添加する銅の濃度を変化させることにより腐植物質の錯化容量を測定することが可能となった。測定された錯化容量は40-270 micro mol/mg程度であり、過去の文献値とほぼ同じ範囲の値となった。
本年度は11月に岩手県大槌湾で観測を行い、腐植物質測定用の海水試料を採取した。分析法の確立を目指すため、70L程度の海水を採取し、東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターにおいて濾過をおこなった。また、大槌湾に流入する河川水も採取し、濾過を行なった。これらの試料は大気海洋研究所に持ち帰りカソーディックストリッピングボルタンメトリーにより腐植物質濃度の測定を行なった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今回適用したカソーディックストリッピングボルタンメトリー法はまだ日本ではほとんど天然水中の腐植物質の測定には利用されておらず、手探りの状態から測定を開始した。特に本法で用いるボルタノメーターは精密な機器であるため、丁寧な調整が必要となる。水銀電極のクリーニング、水銀滴の調整などを繰り返し行うことにより、ようやく高感度な分析が可能となった。また、腐植物質は測定容器中で吸着しやすいため、当初は測定が困難であった。しかし、十分な前処理を行うことにより、天然水レベルの微量分析が可能となった。一方、腐植物質はさまざまな有機化合物の混合物であるため、その標準化が最も難しい問題である。本研究では、複数の国際標準試料を比較することによりこの問題に取り組んだ。標準試料により錯化容量にばらつきは見られたが、ほぼ一貫した傾向が見られたため、十分に信頼できるデータを取得できたと考えている。
2021年10月から開始した本研究課題であるが、上記のように技術的に困難な問題を順調に克服し成果を挙げつつある。今年度確立した方法を様々な実試料に適用することにより、さらに研究が進展すると考えられる。これらの理由から、順調に研究が進んでいると判断した。

Strategy for Future Research Activity

今年度確立した方法を岩手県大槌湾、長崎県有明海で得られた海水に適用し、海水・河川水中の銅や鉄の存在状態解明のための研究を行う。まず、海水中の鉄・銅濃度、腐植物質に由来する蛍光特性について測定を行い、その分布を明らかにしていく。過去の研究ではこれらのデータをもとに腐植物質と微量金属元素の挙動を解析していたため、基礎データとしてこれらの項目の測定を行う。さらに得られた試料中の腐植物質濃度を電気化学分析法により測定し、その挙動を調べる。また、電気化学分析法を使った金属滴定法によって、試料水中の銅・鉄に対する有機配位子の濃度と条件安定度定数も測定していく。これらの錯生成についてのデータと比較することにより、腐植物質の有機配位子としての役割を解明していく。
本年は沿岸域、河口域において渦鞭毛藻などの微小藻類から放出される溶存有機物についてもその役割を研究していく。沿岸域・河口域において採取した海水を用いて培養実験を行い、渦鞭毛藻などの微小藻類を増殖させる。この時放出される溶存有機物の金属との錯生成を調べていく。さらに電気化学分析法により有機配位子の濃度・条件安定度定数を求めていく。その後、同じ海水試料中の腐植物質も電気化学分析法により測定し、腐植物質の生成過程も検討していく予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] ASLO's Early Career Committee Amplifies Voices of Underrepresented Groups in Aquatic Sciences2022

    • Author(s)
      Meinikmann, K., C. A. C. Gushulak, A. Ghosh, M. Bizic, Y. P. Lee, K. Luis and H.-P. Grossart
    • Journal Title

      Limnology and Oceanography Bulletin

      Volume: 31 Pages: 18-20

    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28   Modified: 2023-08-01  

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