2022 Fiscal Year Annual Research Report
産業間・地域間労働移動が農家所得・地域経済・貧困削減に及ぼすインパクト評価
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22F21009
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 勝宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80225698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PHAM THANH 東京大学, 農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム / 貧困削減 / 労働移動 / 企業集積 / VARHS / PSM / 多項ロジットモデル / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、農村からの労働移動(農村内部での産業間移動、農村・都市間の労働移動)が農家家計の所得や貧困削減に及ぼす影響を数量経済学的に把握することである。具体的には、インパクト評価の手法に基づき、家計調査の個票データを用いて、労働移動が家計所得に及ぼす影響を検出すること、家計レベルでの労働移動の効果が地域間、産業間に及ぼす経済波及効果を明らかにすることを具体的な目標としてる。 令和4年度は、第一の目的を中心に研究を実施した。労働移動の研究に先立ち、ベトナムの農村における貧困状況の変化をVARHS(Vietnam Access to Resources Household Survey)の個票(2014年及び2016年)に基づき、貧困と非貧困の遷移過程を多項ロジットモデルにより分析した。ベトナム農村部での貧困世帯は減少してきているものの、世帯員の健康状態、女性の世帯主、教育水準、子供の数、遠隔地ほど貧困に陥る可能性が高いことを明らかにした。次に、貧困削減と労働移動の関係については、上記と同様の個票データを用いて傾向スコア法により、地域の中心地での雇用機会の多寡(企業集積)が地域内の農工間の労働移動を促し、家計所得を増加させ貧困に陥る確率を引き下げることを明らかにした。但し、農村・都市間の労働移動の効果は明らかにはできなかった。また、VARHSの情報だけでは労働移動の実態が明らかにはならないので、ホーチミン近郊の農村にて、ヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初計画通りに進捗している。令和5年度には、労働移動が地域経済に及ぼす波及効果についての計測を行う計画だが、令和4年度中にデータの収集ができなかったため、令和5年度には研究が当初計画通りに進まない可能性がある。研究が遅れることのないよう鋭意努力する所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究成果は、現在雑誌に投稿中である。令和5年度中に掲載されることを予定している。また、本研究はプロジェクト評価に基づく手法を援用しているが、当該手法はプロジェクトが統計的に有意かどうかを確認することが主となっており、地域経済へのインパクトがどの程度になるかという評価はあまり行われていない。そのため、本研究では経済波及効果を計測することで、地域経済へのインパクト評価を行う計画である。時間的制約のため、令和4年度にはデータを収集することができなかったが、地域経済への波及効果の計測行う方針である。
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Research Products
(2 results)