2023 Fiscal Year Research-status Report
Quantum transport study of axion dynamics in magnetic topological systems
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22KF0111
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 穣 東京大学, 物性研究所, 准教授 (10464207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YAN JIAN 東京大学, 物性研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / ホール効果 / 低温実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は反強磁性トポロジカル物質EuIn2As2にたいして様々な化学ドーピングを行った試料に対する輸送測定を行った。この物質はアキシオン絶縁体をはじめとするトポロジカル状態の候補物質であることが第一原理計算などから指摘されているが、実際の物質ではフェルミエネルギーが計算結果からずれていて、大きなホールキャリアが存在することがあきらかになっている。このホールキャリアの減少を目的とした電子ドーピングなどInAs面に対してが行われてきたが、磁性を担うEuの磁気状態も変化させてしまうことがわかっていた。 我々はEuサイトに対してCaをドープした試料におけるドーピング効果の研究から、等価置換であるCaドープによってもホールキャリアが減少していることを見出した。さらに、このキャリアの変化が格子定数の変化によるものであることを計算との比較から明らかにした。このCaドーピングによってEuの磁気状態が大きく変化していないことも、磁化測定やホール測定による異常ホール効果の比較から明らかにした。これらの成果についてすでに論文執筆を行い、現在投稿審査中である。 Caドーピングによる変化に加えて、Srに置換した試料についても電気輸送測定を行って電子状態の大きな変化を観測することができた。この結果について、さらに詳しくドープ依存性を調べることを計画している。 この成果に加えて、昨年度に行ったEuIn2As2のNMR測定の結果の解析を詳細に行い、その磁気秩序状態が従来指摘されていた結晶格子に整合した反強磁性秩序ではなくて、非整合秩序であることを明らかにした。この成果についても、論文を執筆して、現在投稿審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたNMR測定に対する解析やドープ依存性に対する輸送特性の変化などの成果を得ることができた。また、これらの成果に対する論文執筆についても順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
EuサイトやInサイトにおける元素置換試料に対して、そのドープ依存性を詳しく調べ、フェルミ面や磁気状態の変化を明らかにする。特に、大きな電子状態の変化が観測された資料に対してNMR測定などから磁気状態の変化の詳細を明らかにする。
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