2023 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄汚泥由来バイオ炭の多機能性を活用した高度嫌気性消化技術の開発
Project/Area Number |
22KF0134
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (30598503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU JIBAO 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 嫌気性消化 / 超高分解能質量分析 / 機械学習 / バイオガス生産 / 微生物機能 / 代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
嫌気性処理における溶存有機分子動態と微生物機能の関係性解明に取り組むことを目的として、嫌気性消化系の酵素反応を対象とした反応質量距離(PMD)と特定のKEGG遺伝子オルソロジーの関係を表すデータセットを構築した。そして、超高分解能質量分析から得られた有機分子組成をKEGGデータベースから得られる反応経路図にマッピングし、反応代謝経路解析(遺伝子リストと代謝物を対象とした濃縮解析)を行った。その結果、検出された上位の反応はグリシンやセリン、スレオニンなどの分解にかかわる反応であり、さらにシステイン、メチオニンなど硫黄代謝に関係する経路も検出された。これは、活性汚泥の嫌気性消化系ではタンパク質代謝と硫黄関連代謝が優位であることを示唆しており、既往の知見とも整合性がみられた。以上に加え、嫌気性消化系でのる溶存有機物の分解挙動を予測する機械学習モデルを構築した。溶存有機物の超高分解能質量分析において従来から使用される分子組成指標(元素比やNOSCなど)に加え、有機物の微生物分解性を示す熱力学的指標(λ)を新たに導入した。嫌気性処理前後で除去された有機分子組成、生産された組成、もしくは変化しない組成について多クラス分類を複数の機械学習モデルで学習したところ、XgboostやLightGBMなどのアンサンブルboostingモデルが高い精度で分解挙動を予測した。説明可能か機械学習(SHAP)を用いたところ、嫌気性消化系で分解されやすい有機物の特徴として、λ値が0.03以下、分子量が600 Da以上などが示された。以上、本研究成果は嫌気性消化系における微生物代謝と有機物の分解特性の関係性を明らかにしたものであり、嫌気性処理の効率化やバイオガス生産の向上に重要な知見を提供する。
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Research Products
(3 results)