2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on fibrotic niche generation for promotion of gastrointestinal cancer metastasis
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22KF0154
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 正伸 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (40324610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOK SAU YEE 金沢大学, がん進展制御研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸がん / 微小環境 / 転移 / オルガノイド / 線維性微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんによる死亡原因の多くは転移と再発であり、新規治療法開発のためにも転移機構の解明は重要な研究課題である。外国人特別研究員受け入れ研究室では、これまでにマウスモデルやオルガノイドを用いて、消化器がん転移を分子レベルから再現したモデルを開発し、それを用いた転移機構の研究を推進している。本研究では、胃がんや大腸がんなどの消化管腫瘍のマウスモデルから樹立したオルガノイドを使い、マウス脾臓への移植により、大腸がんの肝転移を再現したマウスモデルシステムを樹立し、それを用いた解析により、転移巣に形成される線維性微小環境の形成機構や、微小環境が誘導する転移巣形成機構を明らかにする。この研究により、線維性微小環境の制御による転移がん治療戦略の概念の樹立を示す。これまでに、大腸がんの悪性化に関与する4種類のドライバー遺伝子Apc (A)、Kras (K)、Tgfbr2 (T)、Trp53 (P)にさまざまな組み合わせで変異を導入した、マウス腸管腫瘍由来オルガノイドを樹立した。それらを脾臓移植すると肝臓に到達したオルガノイド由来細胞は、遺伝子変異の組み合わせによって異なる病変を形成することを移植実験により確認した。すなわち、APやATなどの2重変異オルガノイドは、類洞に到達した直後は塞栓を形成して滞留するが、1週間以内に消失する。一方で、4重変異のAKTPオルガノイドは、肝臓に到達して数日以内に線維芽細胞の増殖が始まり、移植後1週間程度で線維性微小環境を形成し、腫瘍細胞の増殖をともなう微小転移巣が形成された。さらに肝転移巣から線維芽細胞株を新たに樹立して、各種遺伝子変異型オルガノイドとの3次元共培養システムを樹立し、AKTPオルガノイドが線維芽細胞やマクロファージと共存すると、腫瘍細胞がクラスターを形成し、遊走することをイメージングにより観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、大腸がんのドライバー遺伝子Apc (A)、Kras (K)、Tgfbr2 (T)、Trp53 (P)にさまざまな組み合わせで変異を導入したオルガノイドを用いて、遺伝子変異と転移性の相関について、移植実験により解析した。その結果、AP、ATなどの2重変異オルガノイドは、脾臓移植後に肝臓に到達しても微小転移巣を形成しないこと、また、4重変異のAKTP細胞は肝臓に到達後、周囲に線維性微小環境を形成し、転移巣を形成することを確認した。さらに、がん細胞と線維芽細胞との相互作用を解析する目的で、AKTPオルガノイドをp53遺伝子欠損マウスに移植して形成させた肝転移巣から、不死化した線維芽細胞株(imCAF)を樹立した。また、腸管腫瘍由来オルガノイドには、VenusまたはtdTomato発現ベクターを導入して蛍光タンパク標識した。特に、令和5年度の研究により、樹立したimCAFと各種遺伝子型の蛍光標識オルガノイドの3次元共培養を実施し、イメージングによるタイムラプス観察を実施した。その結果、AKTPオルガノイドをimCAF、およびマクロファージと共培養すると、オルガノイド表面に腫瘍細胞塊が突起構造を形成し、クラスターを形成しながら遊走する現象を観察した。がん細胞がクラスターを形成して原発巣から遠隔臓器まで遊走する可能性が指摘されているが、本研究の成果により、imCAFとの相互作用を介して、がん細胞のクラスター遊走が誘導されると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した蛍光タンパクで標識した腫瘍由来オルガノイドと、imCAF、マクロファージとの3次元共培養系を用いたイメージングタイムラプス解析を継続する。特に、腫瘍細胞の遺伝子変異型(A、AKなどの良性腫瘍、APなどの非転移性浸潤がん、AKTPなどの転移性浸潤がん等)のオルガノイドと、imCAFやマクロファージとの共培養により、腫瘍細胞がクラスター遊走し、転移巣を形成するのに必要な遺伝子変異型を特定する。また、腫瘍細胞のクラスター遊走を誘導するマクロファージ、あるいはimCAFが産生する因子を特定するため、オルガノイドを用いたRNAシークエンス結果を解析し、候補因子を特定する。これまでの報告から、TGF-betaファミリーサイトカインによる上皮間葉転換(EMT)が、腫瘍細胞の悪性化に関わっていると想定される。そこで、TGF-betaやアクチビンで、三次元培養したオルガノイドを刺激し、クラスター遊走が誘導されるか明らかにする。
本研究により樹立した、オルガノイドとimCAFの共培養系は、個体内での微小環境における悪性化誘導を再現したモデルとして有用である。そこで、この培養系を用いて腫瘍細胞の増殖阻害活性を示す低分子化合物のスクリーニングを実施し、候補化合物を取得する。得られた候補化合物による細胞増殖抑制活性が、オルガノイドの遺伝子変異とどのような関係を示すのか明らかにし、将来的な悪性化大腸がんへの治療を想定した基礎研究を推進する。
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Research Products
(11 results)