2023 Fiscal Year Annual Research Report
超低振動表面増強ラマン散乱を利用した半導体表面における高感度な分子認識
Project/Area Number |
22KF0170
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 勝佳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50321899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAO HAOMING 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | コアシェル型ナノ粒子 / ガス検出 / 表面増強ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気相ガス分子または液相イオン種と酸化物表面との相互作用、すなわち特異吸着や表面反応を利用し、高感度な表面増強ラマン散乱分光測定と組み合わせることで、環境中の有害な微量化学種の選択的高感度検出を行う技術の確立を目指した。特に、近年のラマン測定装置における低振動数領域測定の技術的な進歩を活用し、テラヘルツ帯に現れるような弱い相互作用の直接観察にとりくみ、上記センサーシステムに関わる表面物理の基礎的理解を深めることも視野に入れて実験を行った。これまでにCuOシェルAuコアのナノ粒子を使った表面増強ラマン計測において、液相中の微量硫化物イオンを高感度かつ広い濃度レンジでイオン選択的に検出することに成功した。また、気相中のエタノールガス検出を対象に、SnO2シェルAuコアのナノ粒子を用いた実験を行い、酸化物半導体系のガスセンサーにおいて、従来考えられていた検出機構とは異なる動作原理が関与している可能性を見出した。これにより、ガスセンサー設計の指針が今後変わり、性能の大幅な向上が期待される。 最終年度には、TiO2シェルAuコアのナノ粒子を用い、光触媒反応に伴う表面化学種との相互作用変化や反応中間体検出を狙って研究を進めた。また、光触媒反応と関連して、TiO2表面の超親水化現象もよく知られており、表面吸着水のテラヘルツ振動を測定対象とする実験も実施した。まだ予備的な結果ではあるが、TiO2表面の吸着水の増減を反映した水分子間の水素結合が示すテラヘルツ振動の変化を実験的に検出することに成功した。
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