2022 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性を有するのフレキシブル水素結合有機構造体の創成
Project/Area Number |
22F21339
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 進 京都大学, 高等研究院, 特別教授 (20140303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG QIUYI 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 多孔性材料 / 刺激応答性 / ナノ空間化学 / 水素結合 / 適応機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本共同研究では、ホスト-ゲストケミストリーと分子間水素結合の制御により、熱や光、圧力といった外部刺激に対して応答するHOFの開発を行った。特に、C3対称性を持つ発色性有機分子を基盤として、分子間での弱い水素結合やドナー・アクセプター相互作用を骨格内に導入して、構造及びその光学特性に刺激応答性を付与することを目指した。 2022年度の研究では、刺激応答性フレキシブルHOFの設計、合成、刺激応答特性に焦点を当て次の3つのプロジェクト、(1)高感度芳香族アミンセンシング材料、(2)光熱変換材料、(3)超長距離有機リン光発光材料の開発に取り組んだ。最初のプロジェクトでは、凝集誘起発光(AIE)と電荷移動(CT)特性が顕著な構造素子を元にHOFを構築することで、芳香族アミンの高性能センシングを実現する新しい発光性HOFを開発に成功した。また、2つ目のプロジェクトでは、フリーラジカルの発生部を骨格中に導入することで、新規の光応答性HOFと2種類の光応答性多孔性配位高分子(PCP)の合成を行った。各種スペクトル測定の結果、これらの材料におけるフォトクロミズム現象が多孔性材料中の光誘導フリーラジカルに起因していることを明らかにした。また、非常に高効率な光熱変換特性を有することがわかった。また3つ目のプロジェクトでは、光応答性配位子を用いたHOF構造を構築することで、室温で長寿命の明るい燐光を示す新規のHOFの開発に成功している。これらの研究により、センシング、情報ストレージ、照明、バイオイメージングなど、幅広い用途でHOFの可能性が示すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本共同研究では、ホスト-ゲストケミストリーと分子間水素結合の制御により、熱や光、圧力といった外部刺激に対して応答するHOFの開発を行った。特に、C3対称性を持つ発色性有機分子を基盤として、分子間での弱い水素結合やドナー・アクセプター相互作用を骨格内に導入して、構造及びその光学特性に刺激応答性を付与することを目指した。 2022年度の研究では、(1)高感度芳香族アミンセンシング材料、(2)光熱変換材料、(3)超長距離有機リン光発光材料という、3つの異なる機能を有する新規の刺激応答性HOFの創出に成功しており、当初の計画以上の進展が得られている。現在は、これらのガス機能発現の機構についても検討しており、データが纏まりしだい全て論文化する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度における研究計画では、2022年度の研究成果として報告した3つのプロジェクトを完了すること、及びさらなる新しい刺激応答性多孔性材料の開発と応用性の開拓を行うことを目指す。まず、上記のプロジェクト(1)に関しては論文を完成させて終了とする。プロジェクト(2)ではラジカルの発生・安定化機構の解明、光応答性多孔質材料の構造・物性相関の研究などを行う予定である。プロジェクト(3)では、HOF材料の構成要素の調製と精製、HOFの単結晶構造の解明、超長距離有機燐光特性の光物性測定と理論計算を行う予定である。また、これらの刺激応答性フレキシブルHOF材料を基盤として、センシング、偽造防止、データ保存、データの暗号化・復号化、スマートスキンなどへの応用についても検討する予定である。
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