2023 Fiscal Year Annual Research Report
AIを活用した樹木細胞の構造的・力学的最適化に関する研究
Project/Area Number |
22KF0199
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陳 碩也 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (10882962)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞変形解析 / セマンティックセグメンテーション / 物性予測 / 畳み込みニューラルネットワーク / 樹種識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
力学試験中の木材試験片を動画撮影し、その動画に画像解析を応用した新規木材細胞変形の解析手法の開発に取り組んだ。深層学習を用いたセマンティックセグメンテーション技術による各細胞の輪郭抽出、および粒子トラッキング法を用いた細胞変形追跡を組み合わせることで、力学試験中における数千個の木材細胞変形を同時に評価することに成功した。そして、細胞変形の時系列パターンをk-meansクラスタリングで集約した結果、細胞が大きく変形した領域が破壊する確率が高かった。これらの結果から、本研究で提案した手法は、木材の破壊予測に適応できることが示唆された。次に、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて、木材の横断面の実態顕微鏡画像データから木材の横方向物性を予測モデルの構築に取り組んだ。その結果、木材横方向の曲げ弾性率および曲げ強度を予測可能な信頼性の高いモデルの構築に成功した。そして、モデル解釈・可視化技術であるGrad-CAMを用いて、モデルの判断根拠を可視化した結果、曲げ弾性率に対しては晩材領域、曲げ強度に対しては早晩材の移行領域が抽出された。これらの結果から。機械学習は木材の組織構造と物性発現との関係を解明するための有用な手法であることが示唆された。さらに、画像認技術による木材の高精度な樹種識別モデルの構築に取り組んだ。18種の国産針葉樹の光学顕微鏡写真データベースを作成し、CNNに加えてChatGPTやLlamaなどの大規模言語モデルに採用されたattention機構を利用したvision transformer(ViT)で樹種識別モデルを構築した。その結果、CNNモデルとViTモデル両方の予測精度が高く、一年輪内の早晩材移行の特徴が予測根拠として使用されたことがわかった。これらの結果を論文に取りまとめて公表する予定である。
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