2022 Fiscal Year Annual Research Report
Morphological adaptation in the Neogene primate dentition in Eurasia
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22F22383
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高井 正成 京都大学, 総合博物館, 教授 (90252535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THIERY GHISLAIN 京都大学, 総合博物館, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2024-03-31
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Keywords | コロブス亜科 / 霊長類 / 歯牙化石 / 進化 / 葉食性 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類に限らず、ほとんどの脊椎動物が保持している歯の形態は、その動物の食性と密接に関連している。肉食性動物は、食物である肉を切り裂くような形態を持った歯列をもっている。これに対して、植物食性の動物は、食物である葉や草を咀嚼して消化しやすい形にするための形態的特徴をもっている。本研究では、新生代新第三紀(約2500~260万年前)にユーラシア大陸に生息していた植物食性の化石霊長類であるオナガザル科コロブス亜科の化石歯冠部の3次元形態を解析し、現生種の歯の形態と比較することにより、その生存時の食性復元を行い、葉食性のコロブス亜科における食性の進化プロセスについて検討する。 2022年度(2022年11月-2023年3月)は、京都大学犬山キャンパス(ヒト行動進化研究センター)の高井研究室に所蔵されているユーラシア大陸各地で見つかっているコロブス類の歯牙化石の複製模型(キャスト)のマイクロX線CT画像の撮像を行った。取得した歯冠部の3次元データを分担者であるThiery博士が開発した専用ソフトで解析し、ヨーロッパ各地から見つかっている化石コロブス類や現生コロブス類との比較をおこない、葉食性への適応形態がどの年代の化石種から顕著になってきたのかを明らかにし、コロブス類における葉食性の進化の起源時期を、その背景となる環境的な変化という観点から考察している。現在、これらの研究成果をまとめて、国際学会大会での発表と国際専門誌への投稿を行うべく準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎となる研究データ(マイクロX線CT画像)の取得とデータ解析作業は順調に進んでおり、研究成果を国際学会で発表するべく、参加登録も行った。また、論文化作業も順調に進んでおり、2023年11月の帰国までには論文を投稿できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の予定としては、2023年6月末にバルセロナ(スペイン)で開催される2023年度ヨーロッパ古脊椎動物学会大会(EAVP2023: European Association of Vertebrate Paleontology)に参加し、これまでの研究成果を発表する。また、京都大学ヒト行動進化研究センター(旧霊長類研究所)と隣接する日本モンキーセンターに所蔵されている現生コロブス類の歯牙標本のマイクロCTデータの撮像作業を行い、コロブス類の歯牙形態の解析データの充足を予定している。
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