2023 Fiscal Year Annual Research Report
新奇高温スピントロニクス素子に向けた分子磁石内包ハイブリッド2次元ナノ構造の作製
Project/Area Number |
22KF0237
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
夛田 博一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (40216974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHATTACHARYA SHATABDA 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 2次元ハイブリッド材料 / 熱残留メモリ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
非磁性の2次元材料 MoS2 を化学修飾することで磁気的な特性が発現する。本研究では、2次元表面に分子や薄膜を固定化し、界面に発現する磁性の起源を考察することで、ヘテロ構造に基づく磁性材料の設計指針を導出した。 まず、平均 12 nm の Ni 微粒子を、MoS2 で玉ねぎ状に包み込んだ構造を作製し、MoS2 の層数による磁性の変化を確認した。新しく形成されたハイブリッドナノ構造は、巨大な交換磁気異方性を持つ負の磁化状態を示し、その磁気モーメントと保磁力の両方が温度に応じて可逆的に増加することを見出した。熱残留メモリ効果が観測され、ナノ磁気メモリデバイスへの指針が示された。 また、MoS2 表面上に、反強磁性のβ-NiOOH シートを結合させた系では、MoS2多層膜が高度に歪むことで、巨大な交換磁気異方性が発現することを見出した。β-NiOOHシートは、酢酸ニッケルの水溶液に尿素とポリビニルピロリドンを混合して作製し、水熱合成法で作製した MoS2 に静電相互作用で吸着させる。弱い反強磁性層と隣接する誘起されたフェロ磁性層との間の交換結合は、ほぼ室温で磁化状態の熱残留メモリ効果を示すほど強力であり、作製したハイブリッド材料は、垂直型接合を形成すると、低い動作バイアス電圧と高いON/OFF比を持つ不揮発性の2状態と磁気抵抗もヒステリシス示すことから、スピントロニクスへの応用も期待される。
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