2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cosmic inflation as a probe of high energy physics
Project/Area Number |
21F21026
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野海 俊文 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (30709308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHOU SIYI 神戸大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-09-28 – 2024-03-31
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Keywords | インフレーション / 加速膨張宇宙 / 弦理論 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究費は、研究分担者であるZhouの外国人特別研究員ポジション(研究代表者の野海が受入研究者)に付随する特別研究員奨励費である。 本研究の目的は、初期宇宙の加速膨張「インフレーション」を用いて素粒子論や弦理論などの高エネルギー理論の手がかりを探ることである。研究初年次である2021年度の成果は以下の通りである。 まず、Zhouの外国人特別研究員採用決定後より、Zhouと野海は本研究課題の予備研究として、加速膨張宇宙における弦の古典解の解析を行った。Zhou、野海らの先行研究を拡張し、弦理論が重力の紫外完備化を実現する上で重要な「高階スピン状態」が加速膨張宇宙の弦理論でどのように現れるかを調べた。特に、無限個の高階スピン状態を実現するためには「地平面内で収縮し、巻きついた弦」を考慮する必要があることを指摘した。当該論文はJournal of High Energy Physicsより出版された。この結果は「加速膨張宇宙における弦理論で重力の紫外完備化がどのように実現されるのか?」という新たな問題意識を提示するが、Zhouの着任後は「弦の自己相互作用」の効果を新たに取り入れることでこの問題に取り組んでいる。 そのほか、インフレーション中の相転移により生成される重力波の研究もZhouは進めている。特に、重力波スペクトルに現れるある種の振動パターンから、インフレーション中の膨張率の時間発展を読み取る手法を開発した。当該論文は既にarXiv上で発表されており、論文雑誌で現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Zhouの着任前に進めていた予備研究が予定より早く完了し、着任を待たずして出版された。その後の研究も現在順調に進んでいる。また、Zhouは受入研究者である野海以外とも、本研究課題に関わる関連研究を活発に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、加速膨張宇宙における弦理論の解析を「弦の自己相互作用」の効果を取り入れて進め、「加速膨張宇宙における重力の紫外完備化」に迫りたい。また、これとは相補的なより現象論的なアプローチとして、Zhouと野海は「初期宇宙の観測データから高エネルギー理論の粒子スペクトルを読み取る手法」も共同で開発してきた。Zhouの着任から半年が経ち、研究環境の整備などがひと段落したので、今後はこちらの研究も並行して進めていきたい。
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