2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of strength performance of CLT resisting wall with opening
Project/Area Number |
22F22728
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森 拓郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00335225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MESTAR MOHAMMED 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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Keywords | CLT / 開口壁 / 構造計算 / 耐力壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
建築分野で近年注目されている木造の非住宅への利用において、注目されているCLTを壁として採用した際の強度性能、特に窓などの開口がある場合の評価方法を実験、解析的に検討することを目的としている。そのため、研究分担者であるムハンマド氏が、カナダで研究を進めてきた開口部を含むCLT耐力壁の計算式について、その成り立ちと計算に必要な要素の確認をおこなった。その結果、開口部分にあたる垂れ壁部分の面内せん断性能と面内曲げ性能が重要であること、柱脚部の接合部性能が重要であるため、この評価を実施するための支圧試験とその結果を用いた接合部性能の評価が必要となることがわかった。また、現状の式では、カナダでの開口を持つCLTの耐力評価実験においても、その計算値と実験値にずれが見られたため、本式の改変をおこなった。改変内容は、応力伝達の比率を部材の特性に合わせて変更したことであり、その結果、精度が高くなった。この式を用いて日本のスギで開口部を含むCLTの性能評価をすることとし、本年度はCLTのせん断および曲げ実験を実施することとした。そのため、CLTの材料試験を実施するための試験体準備をおこない、年度明け早々にせん断性能の評価をおこなう予定である。その結果を用いて、構築してきた計算式への代入と、加えて、接合部性能の予測を実施する。来年度は、その結果を踏まえて、建築研究所で実施する試験体の形状の検討を進める。なお、実験施設の確認と打合せも本年度実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者であるムハンマド氏が提案している計算式の検討を進めることで、より精度の高い状態へ改変できたこと、計算に大きな影響を与えるものが、材料の性能、特に開口部の角部に当たる箇所の面内せん断と面内曲げであること、また柱脚接合部の剛性と耐力が重要であることが再認識できたことがあげられる。これらの理解から、材料の面内せん断性能と曲げ性能に関する実験が必要とわかり、材料を手に入れることができた。ただし、大学の試験機の改修のために実験の実施時期が少し後ろとなり、年度をまたぐこととなった。しかし、公知の値を用いた検討を始めており、実験値との入れ替えを実施することで予定通り遂行できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、実施予定のCLTの面内せん断および曲げ実験を踏まえて、開口部を持つCLTの耐力計算を試みる。この際、CLT開口部の垂れ壁部分のせいが変化することでどのように性能が変わるのか、角部のせん断と曲げの比率がどのようになったときに破壊正常が変わるのかについて検討する。これによって、耐力がどのように変わるのかがわかると考えている。ただし、木材はばらつきの大きな材料であるため、垂れ壁のせいがどの程度変わることによって、その性能が変わるのかを検討し、その実験を差が現れると考える2条件を選び実大レベルで実施する。実験は、つくば市の建築研究所にて実施する。試験体の健全な部分を用いて、柱脚接合部の耐力性能の実験も実施し、計算値との違いについて確認する。この際、開口における応力の影響範囲の特定を実施するため、ひずみゲージとDICの計測を実施し、その比較と、応力範囲の確認をおこなうことを考えている。これらのデータを元に、引き続き開口による影響と開口の大きさなどを解析的に検討する。また、私の研究室ではCLTのせん断実験などを多数実施したデータを有しているため、それらのデータを用いて、開口係数の検討を実施し、実験的な検討と解析的な検討の確からしさを示す。
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