2023 Fiscal Year Research-status Report
Modeling and optimization of UV-C treatment to extend shelf life of citrus fruit by CFD
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22KF0302
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 史彦 九州大学, 農学研究院, 教授 (30284912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOTHI JAKIA SULTANA 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 農業工学 / Digital Twin / 殺菌 / UV-C / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、収穫後の農産物の腐敗による劣化を物理的に抑制する手法として、化学薬品を使わない紫外線照射殺菌法に着目し、この工程を数値解析的アプローチによって最適化することを目的とした。このために、昨年度に引き続き、数値流体力学モデリングなどの数値解析アプローチと予測微生物学的アプローチにより、均一照射殺菌を行うための装置設計・制御指針を提示するとともに、計算の効率化、社会実装に資する成果の達成に務めた。 まず、ドライ系の研究では、昨年度、仮想空間上に再構築した3種類の青果物(ミカン、イチゴ、イチジク)モデルを用いて、ランプの配置やベルトコンベアの移動速度等をモデルパラメータとしたシミュレーション解析を実施した。ベルトコンベアによる青果物の移動については、スライディングメッシュ法により紫外線殺菌部を移動する青果物の運動を再現し、より厳密なUV-C連続照射解析を可能にした。UV-C照射殺菌予測では、腐敗性微生物の殺菌速度論的モデルを組み込んだDO照射モデルを用いて、青果物表面におけるUV-C照射強度分布と菌密度分布を可視化するとともに、統計的処理(平均照射量と変動係数)によって照射の均一性を評価した。これにより最適な照射条件を見出し、現有のUV-C照射装置の照射効率をさらに改良、社会実装につながる成果を挙げた。 つぎに、ウェット系の研究では、紫外線照射ストレスによる品質の劣化と機能性成分の増強についても調査し、定量的な成果を得るにはさらなる実験の継続が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Digital Twinアプローチによって、プロトタイプのベルトコンベア式殺菌装置と青果物形状(ミカンおよびイチゴ、イチジク)を3次元でコンピュータ上に再構築、バーチャル空間で紫外線照射殺菌予測を可能とするプログラムの作成に成功した。当初予定していた品目は柑橘のみであったが、3種類の青果物の殺菌解析が可能となった。また、UV-C殺菌装置設計・制御の最適化のためには、精度の向上、計算時間の短縮に挑む必要があったが、いずれも実形状のスムーズ化とメッシュ品質の向上、並列計算により諸課題をクリアーし、一連の研究はおおむね順調に進展したものと結論する。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は2か月間と研究期間も限られていることから、UV-C処理された青果物の品質(品質の劣化や機能性成分の増強)と殺菌評価に資する不足データを補足するための実験を行う。また、成果公表に向け、最終的なデータの分析を行い、2報の論文執筆を行う。
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Causes of Carryover |
当初、UV-C照射殺菌装置の開発にあたっては制御装置等の購入を予定していたが、電子機器高騰のため従来機を改良することで対応し、消耗品費を抑えた。この一部を次年度のさらなる装置の改良費、および研究成果公表旅費とすることとした。
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