2022 Fiscal Year Annual Research Report
Building the framework of controlling a pandemic based on mathematical epidemiology and evolutionary game theory
Project/Area Number |
22F31374
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Host Researcher |
谷本 潤 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60227238)
|
Foreign Research Fellow |
SHEN CHEN 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2022-07-27 – 2024-03-31
|
Keywords | 進化ゲーム理論 / 数理疫学 / マルチエージェントシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
パンデミック制御の基盤となるVaccination Game(VG)の基礎理論としてネットワーク互恵の素過程解明が進化ゲーム理論,非線形力学系理論,統計物理学分野を包含する社会物理学で進んでいる.ワクチン接種,マスク装着やロックダウン等の医療的,非医療的介入方策には社会コストが伴う一方,新興感染症を放置すれば疾病による社会子周防は計り知れない規模となる.このような文脈下では,介入方策の動的最適化が重要な視点となる.本研究では,それに大きく資する空間互恵のダイナミクス解明に取り組んでいる.本研究プロジェクトでは,向後のヴァーチャルネットワーク上でのAIプレーヤーのコミットメントにより,エージェント間のゲームダイナミクスを外生的に制御できる可能性に着目し,従来の空間型2×2ゲームでzealot playerとよばれていたプレーヤー,あるいはVGではstubborn vaccineeとよばれていたプレーヤーを採り得る手を協調に限定せず拡張したbotとして再定義し,このbotプレーヤーの最適配置により,協調(VGであれば自主的にワクチン接種を行う行動)を強化できることを見出し,マルチエージェントシミュレーション(MAS)による人工社会システム実験による検証することを目標に基礎的検討を加えた.特に.本プロジェクト初年度では,Nowakが提唱した5つの互恵メカニズム,すなち血縁淘汰,直接互恵,間接互恵,ネットワーク互恵,多段淘汰を基本に,所謂,社会粘性を上げるプロトコルが具備すべき数理構造を理論的に解明し,その基本フレームを理論的に整理した.また,これを人工社会システムベースで検証するMASシステムをスーパーコンピュータ上に実装する枠組みを整備した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク互恵が担保される基盤構造の上に,常に協調戦略を取る(進化ダイナミクスの対象外として扱う)botプレーヤーを導入することがVaccination Gameのワクチン接種行動に相当するグローバル協調率の向上に如何なる影響を及ぼすかを実証的に解析するマルチエージェントシミュレーションのβ版を構築し,基本的解析を進めることが出来た.エージェントの物理接触を模擬するトポロジーには理論との比較が容易なランダムグラフを導入した解析を行い,その基本特性を解明した上で,空間構造のいわゆるlocalityが大きく利く,正則グラフであるラチスの解析を行うに至った.以上の基本解析を結果を論文として報告した.MASで得られた結果を平均場近似もしくはクラスター近似を適用した理論的予測に繋げる課題は次年度に積み残しとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
上述のようにbotの存否が空間互恵構造に及ぼす素過程を解明することを目指した予測体系を構築する.プロジェクト初年度においては,スパコン上にMASモデルを展開した人工社会システム実験のフレームを整備し,系統的数値実験を行うことが出来た.次年度では,これを理論的にサポートする枠組みを検討する.また,Game Exitオプションを意味するLonerや有償可罰(constly punishment)を協調および裏切りに加えて第3戦略として導入したゲーム構造を解析検討とする. これらを踏まえ,Waccination GameさらにはIntervention Gameを通じて,実空間でのパンデミック制御に資する介入方策(ワクチン接種,マスク装着やロックダウン等の医療的,非医療的介入方策)の動的最適化問題を扱う上で基本となる進化ゲームにおけるネットワーク互恵ダイナミクスの数理構造解明を目指す.
|