2022 Fiscal Year Annual Research Report
Eurasian Literary Traversals: Armeno-Georgian Cosmopolitanism in the Caucasus
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22F22308
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
前田 弘毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MACFARLANE ALEXANDRA 東京都立大学, 人文科学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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Keywords | ユーラシア文学 / アルメニア / ジョージア / アラビアンナイト / アレキサンダーロマンス / 銅の街 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、共同研究者相互の研究業績の参照および研究の進展について、日本語及び英文の論文なども多数公刊することにより、順調に個別の研究成果が得られた。特にコーカサス出身者のイラン世界における政治的・文化的役割に注目した英文論文では複数の言語を操り、やはり複数の文化世界を越境するマイノリティ・エリートの姿を描き出した。さらに、中東文学のコーカサス文学への影響や伝播などを論じた複数の英語論文により、キリスト教徒少数派による複雑な文化受容の背景を論じるなど、独自の成果を得ることができた。いずれも現在の国家・民族などの境界を遙かに超えたユーラシア文化参照の結果であり、さらには時には大きな政治的意味を持っていた点では、現在の国家・民族の自己認識にも密かに影響を与えるものであった。より大きな文脈での相互の研究接続については、共同研究実施期間にさらに進めて行くことになる。また、日本国内のみならず、コーカサス現地における学会の参加や調査なども行い、今後の史資料の収集や研究者との意見の交換にも努めた。コロナ禍以降初の現地渡航により、この間に公刊された研究文献を入手できたことは大きな成果であり、今後の研究に役立てることができる。また、日本国内のユーラシア・キリスト教徒少数派に関する遺跡を共同で実見するなど、日本におけるユーラシア研究とその受容など、ユーラシア中央部に視線を向けながら、洋の東西を跨ぐ本研究らしい共同の成果も得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半年の共同研究機関にもかかわらず、多くの論文の公刊等の成果を得ることができた。さらに、定期的にメーティングを重ねることで今後の共同研究への計画を練ると同時に、イギリス人女性研究者が中国におけるユーラシアを跨いだキリスト教徒少数派に関する遺跡を日本に招聘した事跡などについて、実際に共同で実見を行うなど、研究の広がりを確保することも共同で行うことができた。ディシプリンの異なる研究の対話の点でも順調に相互参照の作業が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究二年目は相互の研究およびテキスト参照の機会をより増やすと同時に、それぞれの研究の進展も図ることで、より豊かな研究成果の獲得を目指す。具体的には17世紀から19世紀にかけてのジョージア/グルジアおよびアルメニアにおける政治と文学の関係について、テキスト生成や言語選択の過程などにも注目しながら共同研究を進めて行く。日本では少ないコーカサス地域研究の上でも、そして、文学研究と歴史研究の相互参照と架橋という点においても、他の研究者との共同での研究発表の場を設けることでさらに研究が促進されると考えられる。また、海外の学会における研究報告を行うことにより、研究の国際性の確保にも努めていく。
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Research Products
(7 results)