2023 Fiscal Year Annual Research Report
Towards a Theater Anthropology:Between bori, stambali and kagura
Project/Area Number |
22KF0326
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
藤田 隆則 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 教授 (20209050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAABANE AYMEN 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | kagura / Ethnomusicology / bori / stambali / performance / trance / therapy |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の調査で私は、ひとつの社会が神聖なものとおこなう対話は、両義的な性格をもっており、ゆえに、詩的、芸術的なアイデアを豊かにするものである、という結論に達した。サブサハラでのフィールドワークで出会ったボリ教団(あるいは「スタンバリ」(=ボリのチュニジア名))と日本の神楽との間には驚くべき類似点がある。たとえば、神楽という語は「神の娯楽」を意味し、一方ボリは「神の音楽」を意味するというような類似点もある。両者に対しては民族風景学、民族音楽学的なアプローチが可能な共通性がある。 本研究では、ボリ(あるいはスタンバリ)の忘れ去られた伝統を復元することの準備、言い換えれば儀式の実践の「演劇化」をめざすための準備をおこなった。演劇化のモデルとなるのは、日本の伝統音楽や民俗芸能である。演劇化を調査するために私はあらゆる方法で、日本の舞台芸術の分析をすすめた。 分析結果を発展させた上で私は、日本人学生も参加するセミナー(学校の行事や科学イベント)を企画した。2023年3月31日には俳優、ミュージシャンを招待して、アフリカ音楽のライブ演奏を企画した。そこにはアフリカと日本の類似点の発見に取り組んでいる映画製作者も参加した。またフランスから、デュ・ソレイユ劇団の役者を招待し、古代から現代に至るまでのマスクの出現およびその必要性に関するレクチャーを企画した。さらに職人を招待して仮面作りのワークショップを行った。 このイベントを通じ、儀礼がパフォーマンスとして演じられることの必要性が、強く確認されることとなった。 今年は、研究成果を活かして、私の元論文指導教員の Guy FREIXE 教授と協力して、『マグレブにおける宗教カルトの視覚的提示ーチュニジアのスタンバリの事例』というタイトルの書物を、2024 年 12 月にフランスのDEUXIEME EPOQUE社から出版する。
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