2023 Fiscal Year Annual Research Report
リモートセンシング技術を用いた勤労者の身体活動・座位行動を規定する環境要因の解明
Project/Area Number |
22KF0351
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00318817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIN CHIEN-YU 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 身体活動 / 座位行動 / ウォーカビリティ / スペースシンタックス / 心血管代謝リスク / 社会経済的地位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、身体活動・座位行動と環境要因(ウォーカビリティ)ならびに社会経済的地位(SES)の関連について包括的に検討することを目的とした。特に2023年度に行った研究の特徴は、新たなウォーカビリティの指標として、スペースシンタックス理論を用いた点である。道路間の接続の度合いを定量化したスペースシンタックス理論によるウォーカビリティの指標は、道路の統合と特定の道路がエリア内の他の道路とどの程度接続されているかを表している。高度に統合された道路ネットワークは、目的地に到達するために必要な方向転換がより少なくなる。本研究の結果、スペースシンタックス理論に基づく新しいウォーカビリティの指標が、男性では収縮期血圧および拡張期血圧と負の関連があり、さらに肥満度と関連することを新たに明らかにした。また、女性の場合、肥満度と関連することも分かった。これらの結果は、都市部におけるウォーカビリティ、特に道路間の接続度合いが心血管代謝疾患の危険因子と関連していることを示している。また、研究期間中には、地域レベルのSESと心血管代謝リスクとの関連において、場面特異的な身体活動と座位行動の潜在的な媒介的役割についても検討した。結果として、SESの高さは心血管代謝リスク得点の低さと関連していた。また、SESの低さは移動のための歩行や余暇身体活動の少なさ、長時間のテレビ視聴と関連しており、これらが心血管代謝リスク得点の高さと関連した。一方、SESが高いほど、移動に伴う座位時間が長く、心血管代謝リスク得点が高いことと関連していた。これらの研究成果は、今後、心血管代謝の健康における社会経済的不平等解消への取り組みへ応用できるとともに、新たな都市環境整備を行う際の意思決定に活用できるものと期待している。
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