2023 Fiscal Year Research-status Report
10-13世紀燕京(現在の北京)における都市生活とアイデンティティの諸相
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22KF0353
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
飯山 知保 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20549513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PURSEY LANCE 早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 遼代 / キタン / 北京 / 石刻文 / 都市史 / 中国歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタル化人文学者との交流を通じ、既存のデータベースの再設計と整理を行った。特に、梅寧華主編『北京遼金史跡図誌』の限定的ではあるが重要なデータセットに焦点を当てて、遼金燕京石刻文に関するデータベースの作成を行なった。その成果は、Lance Pursey, "Courting Capitals: Imperial Itinerance and Urban Ambivalence in the Kitan Liao Dynasty (916-1125)", British Journal of Chinese Studies 13.1(2023): 63-83.として出版された。 また、個別の石刻文を選んで詳細な研究し、それを英語に翻訳することも行なった。特に、東洋文庫に保管されている遼代の拓本を対象としてこの作業を行なった。2024年5月、Rutgers 大学で行われた《中古中国研究の新たなフロンティア》研究会でこの研究成果と翻訳を発表した。これに加え、Yale Universityで2023年6月に行われた3rd Middle Period Conferenceにおいて“When a Kitan man tried to take the Liao imperial exam: The politics and culture of education in the Liao”、台湾の中央研究院において招待講演“大定之分,甲天下焉”:従遼代中京地区出土石刻文献観察遼代中期的社会転折"、そして2024年AAS annual conferenceにて“The Central Capital (中京) and the Making of Liao Subjects”という研究発表と講演を行なった。 さらにこの間、2回にわたり、エルサレム・ヘブライ大学の研究者たちと共同研究を行った。具体的には、2023年08月、モンゴリア考古学現地調査(エルサレム・ヘブライ大学のプロジェクト参加)に参与した。さらに、2024年02月、エルサレム・ヘブライ大学のMichal BIRAN教授とともにオンラインでの契丹研究年次検討会を行った。上記の発表以外の研究業績の詳細は、下の研究成果一覧を参照されたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該特別研究員は、受給した研究資金を十全に活用し、日本国内で著書・論文の執筆を活発に進めてきたため。具体的には、ハーバード大学、AAS (Association for Asian Studies)のannual conference、Elling Eide Center、イェール大学、中央研究院など、アジア・欧米での主要な研究機関と学会において活発に研究発表を行い、このたびの研究計画に対する有益なフィードバックを多く得ることができた。また、ヘブライ大学のMichal Biran氏とともに開催するKitan workshopは今年で3回目となり、すでに世界中の契丹研究者の間で権威ある学術発表の場としての地位を確立した。さらに、モンゴルにおける発掘への参加など、新発見の資料に対する鋭敏な嗅覚をもち、それを実行する行動力も遺憾無く発揮した一年であった。 これらの活動は、アムステルダム大学出版社とのモノグラフの出版契約という形で研究成果として結実し、あわせて複数の論文の発表が確定してもいる。全体的に研究活動はきわめて順調であり、任期内における所期の研究計画の達成は十分に期待できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集した史料とデータに基づき、早期に専著の出版を目指すべきと考える。この2年間での研究調査で、それを可能とする十分な基盤を得ることができた。専著の出版ののちも、この2年間での基盤をもとに、キタンの歴史について、そのユーラシアの中での意義についてさらなる研究を推進することができると確信する。
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