2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22F22305
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
五十嵐 陽介 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (00549008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CELIK KENAN 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-09-28 – 2025-03-31
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Keywords | 琉球諸語 / 比較言語学 / 語彙データベース / 日琉祖語 / 語形成 / 再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
南琉球諸方言を中心にして、9地点を対象に語彙およびアクセント調査を実施した。まず、与那覇、水納島、大浜方言、波照間各方言について、語彙調査を行った上で、収集された語彙に対してそのアクセント型が認定できるためのアクセント資料を収録した。特に波照間方言の3200語に対して、10,000点以上の音声資料を収録できた。宮良方言については、石垣實佳(2013)『メーラムニ用語便覧』南山舎に含まれる語(5000語)の音声をすべて収録した。さらに、宮良方言の単純名詞は琉球祖語に再建される3型のアクセント型の対立を保持しているということを発見した。小浜方言については、その方言の単純名詞も琉球祖語の3型のアクセント型の区別を保持していることを確認した。八重山語新城方言、網取方言については、語彙調査を実施し、同八重山語川平方言について会話集の出版に向けて400文の例文を収録した。上記の調査の他に、前新透・波照間永吉・高嶺方祐・入里輝男(2011)『竹富方言辞典』南山舎の音声を基に各語のアクセント認定を行った。 上記の調査で収集した語彙データを、琉和辞典を編集するために開発したフォーマットに従って整理した。その結果、大浜方言の音声資料付き語彙集ができた。それぞれの語彙集は論文の形で公表した。小浜方言についても、約1,000語についてアクセント型を認定し、その結果を論文の形で投稿した。 琉球祖語の語彙データベースを編集し、約500項目を追加した。さらに琉球諸語の語彙資料を同源語ID(祖語ID)によって紐づけられる枠組みを完成させ、その仕組についての論文を投稿した。 国立国語研究所の共同研究プロジェクト「消滅危機言語の保存研究」(代表:山田真寛准教授)において2016年より公開している消滅危機言語語彙データベースの更新を行い、3月31日に更新したデータベースを公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に研究していた琉球諸語の語彙収集、語彙データのデータベース化、琉球祖語のデータベース編集のすべてを予定通り遂行したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究計画に従って三段階に分けて研究を実施していく予定である。 第一段階では、①琉球諸語の語彙調査、②語彙データのデータベース化、③琉球祖語のデータベース編集の作業を継続実施していく。①琉球祖語を再建するためには、現在の方言の語彙データが必要となる。2023年度は語彙データが不足している方言を対象に語彙調査を集中的に行う。従って、南琉球を中心に約12地点の方言を調査する。②現地で収集した調査データをデータベース化し、既存の語彙データベースに取り入れる。その際、調査データの処理の一部をアルバイターに頼む予定である。具体的な作業内容は各単語の発音を読み上げ原稿のIDと紐付けすることである。③その上で、琉球祖語の語彙データベースを編集する。琉球祖語の「辞典」を編集すると同時に、現在諸方言の語彙データとの紐付(祖語ID入力)を行う。この紐付作業の一部をアルバイターに頼む予定である。 研究の第二段階では、構築してきた琉球祖語のデータベースを日本語の既存の語彙的資源と接続する。具体的に説明すると、国立国語研究所が開発したUniDicのIDを琉球祖語データベースに入力する。接続が完了すると、琉球祖語と日本語に分布する語を自動的に特定することが可能となるため、日琉祖語に遡る語の認定を行う。 研究の第三段階では、日琉祖語に遡ると認定された語を対象に、内的再建の方法を使用し、語形成の分析を行う予定である。
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Research Products
(15 results)