2022 Fiscal Year Annual Research Report
生物電気化学的システムにおけるメタン資化性古細菌による新規脱窒プロセスの開発
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22F22046
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
珠坪 一晃 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 副領域長 (80293257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TRAN THAO 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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Keywords | 堆積物生物電気化学システム / 嫌気的メタン酸化 / 窒素除去 / メタン酸化細菌 / メタン酸化古細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、i) ANME古細菌の集積培養における新規堆積物生物電気化学システム (Sediment BioElectrochemical System: SBES) の有効性、ii) 新規SBESにおけるANME古細菌とその他の微生物群の相互作用、ii) 新規SBESによる窒素除去性能を明らかにすることを目的とした研究に取り組んでいる。令和4年度はこれらのことを明らかにするため、アノード(カーボンフェルトとチューブ形状の支持材を用いて作成)を内部に完全に浸した「堆積物層」、カソード(カーボンフェルトとロール形状の支持材を用いて作成)を浮かせた「水層」とするラボスケールSBESを構築し、異なる基質濃度・電気回路条件下でSBESの連続運転を実施した。原核生物が共通して保有する16S rRNA遺伝子を対象としたアンプリコンシーケンス解析を実施した結果、SBESの運転前後において微生物群集構造が変化していることが確認された。一方、研究開始当初に想定していた発電量や窒素除去性能は確認できず、ANME古細菌の効率的な集積培養は達成できていない可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時に設計していたSBESにおいて、十分な発電量や窒素除去性能が確認できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に関してもSBESの連続運転を計画しているが、流入水の連続供給から間欠供給への変更や有機物や還元剤の使用によりアノード側の酸化還元電位を低く保つことで、SBESによる発電量と嫌気性微生物であるANME古細菌の集積培養効果の向上を図る予定である。このSBESによる窒素除去性能とその窒素除去機構を明らかにすることを目的として、水質分析ならびに電気化学分析を定期的に実施する。水質分析項目は、pH、ORP、全有機炭素、全窒素、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素とする。電気化学分析では、出力電力密度やSBESの内部抵抗などの電気化学的特性を評価する。また、アノード表面に形成したバイオフィルムやアノード近傍の堆積物を対象としてアンプリコンリコンシーケンス解析やリアルタイムPCR定量解析を行うことで、嫌気的メタン酸化ならびに窒素除去に関与するANME古細菌やその他微生物群の集積培養状況や相互作用などを明らかにする。
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