2023 Fiscal Year Annual Research Report
強く結合したd+f電子系における異常物性の研究と高圧測定による起源解明
Project/Area Number |
22KF0378
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
辻井 直人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (90354365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VALENTA JAROSLAV 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | d電子系 / f電子系 / 磁性 / 圧力 / 希土類化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
秩序状態の形成と消失の臨界点近傍の物性は、固体物性の中心的課題の一つである。遷移金属化合物における遍歴電子磁性と、4f電子系における重い電子状態は、上記の点で興味深く、ともに大きな研究領域を形成している。理論的には共通の枠組みでとらえられることも多いが、実験的には、両者が同時に発現するような物質は極めて少ない。本課題では3d電子と4f電子が強く相関しあって、両者がともに磁性不安定性近傍に位置するような物質に対して、磁場や圧力などの外部パラメータを制御して新規な物性を開拓し、起源解明を目的として行うものである。特に我々はこれまで物性の詳しい研究がなされていなかったラーベス相化合物YbCo2に対して、良質バルク試料の作成に成功し、低温の物性を調べた。磁化率測定の結果、Ybはほぼ3価であり、Coも磁気モーメントを担っていることがわかった。比熱測定の結果、0.4 Kの低温まで磁気秩序が見られないが、7 J/mol K2を超える巨大な電子比熱を示すことが見出された。磁場を印加すると、磁気秩序のような異常が現れ、この異常は磁場の増加とともに高温側に移動しており、強磁性に類似していることがわかった。比熱の詳細な解析により、低温側の大きな電子比熱は結晶場を仮定した4f電子の寄与だけでは説明できないことがわかった。そのため強磁性秩序近傍の3d電子が4f電子と結合して生じた磁場誘起磁気秩序であることが示唆された。同様な異常な物性を開拓するために、スクテルダイト系に注目した。これまでにYbFe4Sb12で圧力や原子欠損によるYb価数転移とFe強磁性が観測されている。一方、YbxCo4Sb12ではYb価数は圧力の影響を受けず、ほぼ2価のままであった。さらにYbMn2Sb2、YbMn2Ge2、YbCuxなどについて圧力下分光を測定し、非常に興味深いYb価数転移がいくつかの物質で観測された。
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[Journal Article] Phase transitions and slow spin dynamics of slightly inverted A-site spinel CoAl2-xGaxO42024
Author(s)
T. Naka, J. Valenta, T. Nakane, S. Ishii, M. Nakayama, H. Mamiya, K. Takehana, N. Tsujii, Y. Imanaka, Y. Matsushita, H. Abe, T. Uchikoshi, H. Yusa
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Journal Title
Journal of Physics: Condensed Matter
Volume: 36
Pages: 125801
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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