2023 Fiscal Year Research-status Report
水田におけるアゾラ被覆がメタン排出に影響を及ぼす機構の解明
Project/Area Number |
22KF0393
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
常田 岳志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20585856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIMANI SAMUEL 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / メタン / 水田 / イネ / アゾラ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度行ったポット試験の結果を解析し、有機農業条件では、水田雑草(コナギ)がある場合の方がメタン排出量が小さくなること、およびその影響の程度には、イネ品種によって異なる事を明らかにした。これは、水田からのメタン排出量にはイネ以外の植物による影響も大きいことを示した重要な成果であり、国際誌に成果を公表した。 またアゾラの緑肥としての利用や田面におけるアゾラ被覆が水田からのメタンやN2O排出に与える影響の解析を継続し、ヨーロッパにおける国際学会(EGU)およびアジアを主なターゲットとした国際イネ会議(IRC2023)等で世界に向けて成果を発表し、多くの参加者と意見交換を行った。実際のアゾラ利用にあたっては、イネの生育やコメ収量に与える影響が極めて重要であるため、その解析についても精力的に進めた。また会議参加者とのディスカッション等を踏まえ、水田への投入する有機物の量や種類が、温室効果ガス排出やコメ収量等にあたえる影響について、文献調査やメタ解析も進め、当初計画以上の研究も展開した。 メタン排出抑制の重要なターゲットとなるメタン酸化については、安定同位体である13Cラベルされたメタンを水に溶かし、それを土壌中に灌注することでイネを経由して大気へ排出される前に酸化分解される割合を求める方法を考案した。2023年度は、メタンを溶解させる手法の検討や同位体分析ラインについて室内予備試験を進めた。2024年度に実圃場で試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際誌に論文を発表しただけでなく、引き続き国際的な発表を精力的に行った。温室効果ガス排出やコメ収量等にあたえる影響について、文献調査やメタ解析も進めるなど概ね順調に進展したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
アゾラの利用にあたっては、関連法規やコンプライアンスをクリアするために多くの時間がかかることが判明した。限られた研究期間を最大限活用するため、カバークロップや他の関連する試験項目や文献調査・メタ解析等を優先して進めることとした。
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Causes of Carryover |
物品費関係について、今年度予定していた試験の一部が実施できなかったため、未使用額が生じた。水田における試験を2024年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる予定である。
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