2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Theoretical Design Methods of Catalysts Based on Electronic Structure Theory and Their Applications to Design and Development of High-Performance Molecular Catalysts
Project/Area Number |
21J00210
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白男川 貴史 北海道大学, 触媒科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 化学空間 / 逆分子設計 / 機能分子設計 / 構造安定性 / 平衡構造 / 量子アルケミー / 原子化エネルギー / 電気双極子能率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、高機能触媒を設計する合理的かつ汎用的方法論の確立と高機能分子触媒の設計・開発である。本年度(2021)は、基盤となる機能分子設計法の開発を行った。 機能分子設計は、候補分子で占められる化学空間の探索とみなせる。化学空間の探索において分子の構造安定性を考慮することは、現実的な分子の設計のために重要である。そこで、構造緩和を考慮した化学空間の探索を最適化問題として定式化し、平衡構造の機能分子を設計する方法を開発した。提案した分子設計法は、特に、電子エネルギー、反応エネルギー、活性化エネルギーのような化学反応・触媒機能において重要なエネルギー関連物性の効率的設計を可能にする。分子設計法は、量子アルケミー法を基盤としており、化学空間に含まれる等核座標の分子の物性を効率的に計算する。量子アルケミー法は、分子の間の違いを量子力学的に表す。そこで、参照分子から他の分子のエネルギーの核座標に関する微分を効率的に計算する摂動的手法を開発した。提案した手法の有用性を数値的に実証した。設計法を様々な化学空間に適用し、所望の原子化エネルギーと電子エネルギーをもつ分子の設計に成功した。現在、大規模な化学空間への分子設計法の応用を進めつつ、研究成果をまとめた論文を準備している。 また、機能分子設計の最適化問題の異なる定式化から、よりヒューリスティックかつ汎用的な機能分子設計法を開発した。この設計法は、エネルギー以外の物性に関する機能分子設計に特に有用である。簡単な化学空間に設計法を適用し、光学物性や分子間相互作用において重要な所望の電気双極子強度をもつ分子の設計に成功した。現在、分子設計法を様々な機能分子の設計に適用している。 さらに、複雑な環境における分子触媒の触媒反応機構解明に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた機能分子設計法の開発・応用は、順調に進展している。化学空間の分子物性計算に試行錯誤を重ねた。特に、エネルギー微分の計算手法の開発に時間を費やしたが、大規模な化学空間に対して効果的な分子設計法を提案することに成功した。また、予定していなかった一般的な物性に関する分子設計法を開発できた。これらの方法を実装したプログラムを開発した。さらに、分子触媒の触媒反応機構の解明に取り組んだ。 以上のことから、研究は、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論触媒設計法の開発に向けて、開発した機能分子設計法を様々な化学空間に応用する。結果から、分子設計法の適用性と限界を調べる。また、分子設計に関する研究成果を論文としてまとめ、国際論文誌に投稿する。さらに、分子設計法を基盤として、化学反応・触媒設計法の開発に取り組む。
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