2021 Fiscal Year Annual Research Report
Qualification of nutrient removal by aquatic insect emergence from streams
Project/Area Number |
21J00860
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇野 裕美 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2026-03-31
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Keywords | 物質循環 / 動物 / 移動 / 生活史 / 食物網 / 河川 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は昨今の社会状況により当初予定していた海外渡航による研究を延期し、本研究に向けて日本の河川において予備的な研究を行った。本プロジェクトに関連する水生昆虫などの底生生物が栄養塩循環に与える影響に関する論文一本がOecologia誌に受理された。また、本プロジェクトに関連して動物と栄養塩の結びつきについて国内外の研究者と議論を進めることを目的に2022年3月にオンラインで行われた日本生態学会においてシンポジウムを主催し、自身の研究成果についても発表を行った。 具体的な研究としてはまず、河川における水生昆虫の分布・移動などに関する研究を主に行った。河川の流量変動により刻々と地形や水の広がりの変化する自然氾濫原の生態系において水生昆虫を含む底生生物がどのように河川を利用し、どのような密度で資源を利用しているのか。また、河川から湖や海に流れ込む水景観の中を魚および水生昆虫が移動することでどのように自然生態系間の資源移動が行われておりそれが生態系内の物質循環にどのように寄与しているのかについて評価した。さらに、海外渡航して使用する予定であった溶存酸素濃度の計測による河川メタボリズムの推定に関して日本のいくつかの河川で試行し、方法論を確立した。 従来河川を通した物質循環は水の移動に伴って起こる無機的な過程が着目されてきたが、一連の研究は動物が栄養塩循環の中で果たす役割について評価するものであり、従来の生態系における物質循環に関する認識を変える新しい研究である。さらに研究を深めていくことで、これまで軽視されてきた動物の物質循環における役割について明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨今の社会状況により従来予定していた海外渡航による在外研究を行うことができなかったので、代わりに日本の河川においてできる研究を行った。日本でできる研究としては、従来海外で行うことを計画していた研究内容とは少し異なる内容とならざるを得なかったが、本研究プロジェクトに関連する内容で十分な研究成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は従来計画していた海外渡航による在外研究を行う予定である。7月にアメリカに渡航してコロラドおよびモンタナの共同研究者らと共に野外調査を行い、9月以降改めてアメリカのコロラドに渡航してコロラド州立大学において在外研究を行う。自然河川の地形や水文変化をどのように生物が使い分け、それがどのように河川を通じた栄養塩循環に寄与するかについて詳細な研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)