2023 Fiscal Year Research-status Report
Contribution of aquatic insects in nutrient cycling in rivers
Project/Area Number |
22KJ0004
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宇野 裕美 北海道大学, 地球環境科学研究院, 研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2026-03-31
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Keywords | 河川 / 地形 / 栄養塩循環 / 底生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアメリカのコロラド州立大学を拠点にEllen Wohl教授らとともに河川地形と河川生態系の関連に関する共同研究を推進するとともに、夏季にはアメリカのモンタナ州のFlat Head Lake Bio Stationを拠点としてBob Hall教授らとともに、水生昆虫が河川の栄養塩循環に果たす役割について研究を行った。 天然の氾濫原においては同じ河道内においても洪水時の水の流れの強さが異なることから攪乱の受けたに差異があり、それに応じて場所による水生昆虫密度などが異なり、場所により異なった生物群集の発達が見られることが分かった。また、天然河川での栄養塩の添加実験により河川での窒素・リンのUptake Rate(吸着率)を推定するとともに、水生昆虫による窒素やリンの無機加速度を排泄速度として測定し、その密度と掛け合わせて算出した水生昆虫全体による栄養塩無機加速度を比較することで、河川水中の栄養塩動態に対する水生昆虫の寄与率を算出した。 今回これらの測定を行った比較的貧栄養な河川においては水生昆虫による栄養塩の無機加速度は測定された窒素リンの吸着率よりも高い、つまり水生昆虫の栄養塩動態への寄与が非常に高いことが分かった。世界の河川での先行研究データと比較してもこれは非常に水生昆虫の寄与の高い例となっており、貧栄養河川における動物の栄養塩循への寄与の大きさが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していたデータの取得はすべて行い、仮説を支持する結果が得られた。また、来年度以降に予定していた世界的な水生昆虫による物質循環への寄与に関するデータの取得に関しても、過去の論文のメタ解析などを進めることができ、データの解釈がすすんだ。これらの進捗は当初予定した以上の進捗であり、今後はこれらのデータを解釈して論文化執筆していくことに注力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのデータ取得に関しては予想以上の進展があった。今後はこれらの成果を国際雑誌に出版することに注力したい。
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