2023 Fiscal Year Annual Research Report
The role of swimming mechanism in fish schooling
Project/Area Number |
22KJ0011
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江口 剛 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | PIV / 魚群 / 遊泳行動 / バイオメカニクス / エナジーセーブ / 圧力分布 / CFD / 無振動遊泳 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はウグイとマアジの「無振動遊泳」についてPIV解析・模型実験・CFD解析の3手法で得た結果をまとめ、国際学会や論文として発表した。平板前方の淀み域に対し定位する無振動遊泳では魚の行動解析も新たに加え、平板との位置関係に応じて魚体の曲率を変えることで前後左右の力を釣り合わせ定位することを示した。翼模型に対し並列する無振動遊泳では、翼模型近傍の局所的な低圧領域を吸引力に前後の力を釣り合わせ、魚体も迎角を持つことで左右の力を打ち消すことを示した。生体の選択した迎角は魚体に働く合力が最もゼロに近い値であることを明らかにしたほか、最適な遊泳姿勢は魚体の曲率や胸鰭の開閉など魚の能動的な制御によって維持しうることも示唆された。さらに波長の異なる2種の光源を用いた複層PIVで魚群内の流場解析に成功し、並列個体の尾鰭振動に伴う逆カルマン渦列で後方個体の経験流速が4-9%低減する後流域発達を複断面で明らかにした。複層PIVが魚群遊泳の実験に有効と確認できたため、今後は発展させていきたい。 本研究の最大目標である無振動遊泳の仕組み解明は達成した。本研究を通じ明らかになった、魚体が局所的な圧力変化に反応し最適な遊泳姿勢を選択する機能性は、魚群遊泳におけるエナジーセーブの説明に寄与しうる。ただし本実験では無振動遊泳が生じる個体のみに着目しており、例えば前方個体が吻端付近にいることで他個体に余計な抗力が働く可能性や、流れに対し魚が迎角を持った際の抗力増大を考慮すると常に働くとは考えにくく、方向転換や個体位置変更、異なる体サイズの個体間などで発揮する可能性がある。無振動遊泳の安定的な観察のため平板や翼模型を用いたが、詳しい検証にはモデルサイズの変更や個体数の増加など更なる実験が課題となる。以上については博士論文として発表し、優れた研究成果として伊藤一隆賞が北海道大学水産科学院より授与された。
|