2021 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノロッドの配向・位置制御技術の確立と新規光学材料への展開
Project/Area Number |
21J21054
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関澤 祐侑 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / 高分子ブラシ / ポリマーブラシ / 金ナノロッド |
Outline of Annual Research Achievements |
金ナノ粒子は光照射によって局在表面プラズモン共鳴(LSPR)が誘起される。中でも棒状の金ナノ粒子(金ナノロッド; GNR)には、長軸方向に対応した特徴的で強いプラズモン(L-LSPR)が現れる。このL-LSPRは光の照射方向に依存するため、GNRの自在な配向制御の実現は新たな機能を持つ光学デバイスへの応用が期待される。本研究では、外部刺激に応じて柔軟に形を伸縮させる高分子ブラシをテンプレートとして利用し、GNRの動的な配向制御法の確立を目指す。これまで異方性ナノ粒子のテンプレートとして着目されていなかった高分子ブラシを用いることで、ナノ粒子制御に関して新たな知見をもたらすことが期待される。 本期間においては、GNRの垂直配向化が可能である高分子ブラシの作製法を確立した。また、高分子ブラシの伸縮を誘起し、GNRの動的な配向変化に成功した。ガラス基板上に重合開始剤を適切な密度で固定し、基板上に固定された開始剤を起点としてポリスチレンスルホン酸(PSS)を基板上で重合し、ポリスチレンスルホン酸ブラシ(PSS brush)を作製した。PSS brushに対して正に帯電したGNRを吸着させたところ、GNRは基板に対して垂直に配向して吸着することが判明した。また、PSS brushの収縮を誘起するNaCl水溶液や有機溶媒を添加したところ、GNRの配向が垂直状態から大きく傾斜することが消光スペクトル結果から判明した。これはPSS brushの収縮によってGNRも同時に倒れたことが原因だと考えられる。 以上の結果から、合成高分子ブラシをテンプレートとしてGNRの配向化および配向変化に成功した。高分子ブラシの構造に依存してGNRの配向変化が可能であることから、様々な刺激応答性高分子への応用展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、アニオン性合成高分子ブラシによる金ナノロッドの配向化および刺激応答性高分子を用いた配向変化を計画していた。本期間では刺激応答性高分子への応用は達成されていないものの、アニオン性合成高分子ブラシによる金ナノロッドの配向化および合成高分子ブラシの構造変化を利用した配向変化を達成した。これらの結果から金ナノロッドの配向化に重要な条件が判明し、基礎となる知見が得られた。そのため刺激応答性高分子などへの応用展開は、これらの知見を活かして達成可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノロッドの配向化が可能である合成高分子ブラシの構造解析を行い、配向化に必要な要素を調べることにより応用展開に向けた基盤を確立する。その後刺激応答性高分子に代表される構造が可逆的に変化する合成高分子を用いて高分子ブラシを作製し、外部刺激による金ナノロッドの配向変化に取り組む。あるいは、導電性基板上に合成高分子ブラシを作製し、電場印可による配向変化に取り組む。
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